研究課題/領域番号 |
25830031
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
内ヶ島 基政 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10614662)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ドーパミン / 線条体 |
研究概要 |
随意運動や報酬行動に関与する線条体は、中脳黒質から豊富なドーパミン投射を受けることによってその機能が制御される。黒質ドーパミンニューロンは線条体ニューロンに対してドーパミンシナプスと呼ばれる電子顕微鏡的にGABAシナプスと相同な構造を形成することが知られるが、その分子基盤が明らかにされていないことから実質的なシナプスと呼べる構造であるかどうかは不明である。本研究は線条体ドーパミンシナプスの分子形態学的基盤を解析することでドーパミン神経伝達におけるドーパミンシナプスの役割を解明することを目的としている。平成25年度はドーパミンシナプスがグルタミン酸シナプスやGABAシナプスと同様のシナプス接着分子によって誘導されるかどうかを検討するため、ドーパミンニューロンと非ニューロン細胞を用いた共培養系を確立した。これを用いることにより、ドーパミンシナプスは他のシナプスと同じようにニューロリジンによって誘導可能であることを明らかにした。さらに、マウス組織を用いた蛍光多重染色法および包埋後免疫電子顕微鏡法により、ドーパミンシナプスのシナプス後膜ではGABAシナプス選択的な発現が知られるニューロリジン2が検出され、その発現強度もGABAシナプスとほぼ同等であった。以上から、ドーパミンシナプスはGABAシナプス形成に関与するニューロリジン2を介して形成され、GABAシナプスと共通の分子基盤を有している可能性が考えられる。今後はニューロリジン2の足場となる分子やドーパミン放出に関連する分子発現の検討を進め、ドーパミンシナプスの構成分子を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は本研究課題の最も鍵となるドーパミンシナプスのシナプス接着に関連する分子を機能および局在の両側面から同定することができており、順調な進展と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に同定したドーパミンシナプス分子と関連する分子に着目しながら主に免疫組織化学的手法を用いてドーパミンシナプスの分子構成を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
輸入マウスを平成25年度中に発注したが年度内に納品されなかったため、その費用の一部を次年度へと持ち越したため。 輸入マウスの購入費用に充てる予定である。
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