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2013 年度 実施状況報告書

脊髄小脳変性症1型モデルの投薬治療の試みと神経変性症の共通メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 25830046
研究種目

若手研究(B)

研究機関群馬大学

研究代表者

飯塚 朗  群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10466683)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード脊髄小脳変性症 / 神経変性症
研究概要

脊髄小脳変性症1型(Spinocerebellar Ataxia:SCA1)の原因遺伝子Ataxin1の変異型をノックインしたモデルマウスにNMDA受容体阻害剤メマンチンを経口にて長期間投与し、運動失調などの症状を長期間にわたって観察した。投与期間は、このヒトのSCA1にもっとも近いと考えられるSCA1モデルマウスに発症前である生後4週齢からメマンチン投与を開始し、死ぬまで行った。四肢の協調運動を調べるために、Rota-rod testを行ったところ、メマンチン投与群のスコアが、非投与群とくらべ有意に改善していた。また、モデルマウスでは20週齢までに体重の増加が止まり、30週齢を超えると急激に減少してしまうのに対し、投与群では体重増加が長く観察され、また、その後の体重減少も緩やかであった。さらに非投与群では、平均45週齢で死んでしまうのに対し、投与群では有意に寿命の増加が観察された。
次に、すでに報告されているSCA1-KIモデルマウスにおける加齢に伴う小脳プルキンエ細胞数の減少についてメマンチンの効果を観察してみたところ、モデルマウスでは野生型に対し減少していた細胞数が、投与群では野生型と同程度の数が保たれていた。
SCA1の死因として延髄部での異常がある可能性が依然の論文で指摘されいたことから、観察しやすい神経核の運動神経細胞を数を野生型とSCA1KIで比較したところ、有意に減少していた。さらにメマンチン投与群ではその細胞数の減少が防がれたいることも明らかになった。背側運動核は胃腸の蠕動運動や分解酵素の分泌に大きく関わっていることから、SCA1における体重減少が、背側運動核の神経細胞減少に起因している可能性が示された。また、現在これらの結果をまとめ、論文を執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、メマンチン投与群と非投与群マウスにおける行動実験、寿命の比較及び小脳、延髄での細胞数のカウントなどが終了しており、SCA1の病状においてメマンチンの一定の効果が認められたことから、一度論文を作成する予定である。しかし、実際にSCA1KIにおいてNMDA受容体がどのような挙動をしているか、また、SCA1におけるNMDA受容体を介した詳細なメカニズムについては依然わかっていないため、今後は、SCA1のNMDA受容体の異常とSCA1メカニズムに焦点を当てていく予定である。以上のことから、本研究の達成度は、60%程度であると考えている。

今後の研究の推進方策

達成度の項で触れていた通り、メマンチンのターゲットであるNMDA受容体のSCA1における異常と変異Ataxin1による細胞死の関係がいまだよくわかっていないことから、電気生理学的手法を中心とした方法で、SCA1のメカニズムについて焦点を当てて研究を推進していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

研究内容の漏えいを防ぐため、また、研究活動に専念するために、学会の出席を見合わせたため、旅費の出費が無くなり10万以上の金額が残ってしまった。
2014年度は、詰めの実験を行い、また論文を投稿する予定でもあり、積極的に海外、国内を問わず学会で研究成果を発表することを考えている。また、特許取得も視野入れており、次年度使用額分の予算も使用することを考えて計画を立てている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Mesenchymal Stem Cells Ameliorate Cerebellar Pathology in a Mouse Model of Spinocerebellar Ataxia Type 1.2013

    • 著者名/発表者名
      Matsuura S, Shuvaev AN, Iizuka A, Nakamura K, Hirai H.
    • 雑誌名

      Cerebellum

      巻: epub ページ: epub

    • DOI

      10.1007/s12311-013-0536-1

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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