研究課題
Disrupted-in-schizophrenia 1(DISC1)は現在報告されている最も有力な統合失調症脆弱性因子の1つであり、これまでにDISC1の機能を明らかにすることを目的に世界中で様々な研究が行われてきた。黒田らは、2011年にDISC1ノックアウト(KO)マウスが統合失調症様の表現型を示すこと、既存の抗DISC1抗体が内在性DISC1を正しく認識しておらず、これまでのDISC1に関する報告は再評価が必要であることを報告した。本研究は、DISC1に関する既存の報告についての再評価と、DISC1本来の機能の解明を目的として、1. DISC1の分子機能解析と、2. DISC1の活性制御機構の解析を行った。1.のDISC1の分子機能解析について、黒田らは、DISC1の新規抗体を用いた解析から、DISC1がTrans-Golgi network(TGN)に濃縮することを報告している。これに基づき、DISC1が何らかの分泌蛋白質の制御を行っていると考え、DISC1結合蛋白質のうち、蛋白質分泌に関与するの分子の同定を試みた。本研究については、共同研究者と共に論文作成中である。また、別の共同研究者と共に、DISC1がRNA結合蛋白質および特定のmRNAと結合し、樹状突起においてmRNAのシナプスへの輸送を制御していること、そしてシナプスの伝達効率を制御していることを見出した。本研究については、最終年度に論文発表を行った。これら以外にも世界中に新規抗体を分与しており、多くの論文が報告されている。2.のDISC1の活性制御機構については、DISC1がリン酸化によって制御される可能性があることを見出した。しかしながら感度特異度共に充分な、抗DISC1リン酸化抗体を作製することが出来ず、生体内において本当にDISC1がリン酸化されているかどうかを確認することが出来なかった。
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Nature Neuroscience
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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http://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical/dbps_data/_material_/nu_medical/_res/topix/2014/itpr1_20150331jp.pdf