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2014 年度 実績報告書

うつ病におけるミトコンドリア障害の病理学的な関与

研究課題

研究課題/領域番号 25830054
研究機関鹿児島大学

研究代表者

神戸 悠輝  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60549913)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードうつ病 / ミトコンドリア障害 / 変性タンパク質応答 / ドラッグターゲット / マウスモデル
研究実績の概要

うつ病の薬物療法はモノアミン仮説に基づいた薬物がほとんどであるが, 約3分の1のうつ病患者は従来の抗うつ薬が無効な, 難治性うつ病であることが知られていることから, 新規の抗うつ薬ターゲットを見出すことは急務である. 一方,ミトコンドリアは近年,神経細胞の分化や情報伝達を制御することが可能であり,個体を対象にした研究においても,精神疾患とミトコンドリアの障害の関連性を示す多くの報告が蓄積されてきている.そこで, 本研究ではうつ病の原因としてミトコンドリアの障害の関与を見出すことを目的とした.
まず, マウスに2週間の拘束ストレスを慢性的に負荷した後, 強制水泳試験と尾懸垂試験に供すると, 無動時間の有意な延長を示すことから, 慢性的に拘束ストレスを負荷したマウスはうつ病様の症状を呈することが明らかとなった. さらに, これらのうつ病マウスの脳からミトコンドリアを回収し酸素消費量を観察すると, うつ病マウスで酸素消費量の低下が観察され, 脳組織における脂質過酸化の程度を観察すると, うつ病マウスで有意に高く, 活性酸素の産生量が増加していた. すなわち, うつ病マウスではミトコンドリアに何らかの障害がある可能性が示された.
ミトコンドリアは変性タンパク質応答により, ミトコンドリア特異的な分子シャペロンを誘導することでミトコンドリアの障害に対処する事が知られている. そこで, うつ病マウスにおいて, 変性タンパク質応答に関わるHspa9, Hspd1, Ubl5, ClpP, Abcb10の発現を検討すると, 全ての分子の発現がうつ病マウスで有意に高い事が明らかとなり, さらに, すべての分子の発現がうつ病様行動と正に相関することが明らかとなった(Neurosci Lett, 2015). 以上の結果から, ミトコンドリアの障害はうつ病の治療ターゲットとなる可能性が示された.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Potential involvement of the mitochondrial unfolded protein response in depressive-like symptoms in mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Kambe, Y. and Miyata, A
    • 雑誌名

      Neuroscience letters

      巻: 588 ページ: 166-171

    • DOI

      doi:10.1016/j.neulet.2015.01.006

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Activation of glycogen metabolism by pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide in cultured astrocyte2015

    • 著者名/発表者名
      神戸 悠輝、中島 優、新谷 紀人、橋本 均、宮田 篤郎
    • 学会等名
      第88回 日本薬理学会年会
    • 発表場所
      名古屋 (名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-20
  • [学会発表] Spinal PACAP-specific receptor activation induces long-lasting mechanical allodynia through the activation of astrocytes2015

    • 著者名/発表者名
      用皆 正文、栗原 崇、神戸 悠輝、高崎 一朗、宮田 篤郎
    • 学会等名
      第88回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      名古屋 (名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-20
  • [学会発表] 下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチドによる脳内グリコーゲン代謝の活性化 〜培 養アストロサイトを用いた研究〜2014

    • 著者名/発表者名
      神戸悠輝, 宮田篤郎
    • 学会等名
      第 67 回 日本薬理学会西南部会
    • 発表場所
      小倉 (産業医科大学)
    • 年月日
      2014-11-23 – 2014-11-23
  • [学会発表] 下垂体腺腫細胞 GH3 のプロラクチンおよび成長ホルモン分泌に及ぼすリゾホスファチジルセリ ンの効果2014

    • 著者名/発表者名
      井上和彦、竹ノ内里奈、國師恵美子、大和麻耶、神戸悠輝、宮田篤郎
    • 学会等名
      第 67 回 日本薬理学会西南部会
    • 発表場所
      小倉 (産業医科大学)
    • 年月日
      2014-11-23 – 2014-11-23
  • [学会発表] Implication of Mitochondria in PACAP signaling :modulation of energy metabolism in brain2014

    • 著者名/発表者名
      Atsuro Miyata and Yuki Kambe
    • 学会等名
      20th International Symposium on Regulatory Peptides
    • 発表場所
      京都 (京都ガーデンパレス)
    • 年月日
      2014-09-07 – 2014-09-10
    • 招待講演
  • [備考] 生体情報薬理学のホームページ

    • URL

      http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~pharmaco/

  • [備考] 神戸 悠輝の研究概要

    • URL

      http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~pharmaco/ukikambe.html

  • [備考] 鹿児島大学研究者総覧 - 神戸 悠輝 -

    • URL

      http://kuris.cc.kagoshima-u.ac.jp/512228.html

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公開日: 2016-06-01  

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