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2013 年度 実施状況報告書

女性の生殖可能期間を支える原始卵胞活性化とその分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25830061
研究種目

若手研究(B)

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

鈴木 仁美  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60644094)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード卵胞成熟 / 転写因子
研究概要

哺乳類卵巣においては卵母細胞は複数種の体細胞に支持され、これらの細胞が作る球状の細胞の集合体を「卵胞」とよぶ。最も未成熟な原始卵胞は前顆粒細胞と小さな卵母細胞からなり、休眠状態で長期間卵巣内に蓄えられているが、刺激に応答して活性化すると成熟過程に入って排卵される。女性が40年という長い生殖器官を維持できるのは、原始卵胞の維持と活性化のバランスをとる機構が働いているためだが、その分子機構の詳細については未だ不明である。原始卵胞活性化(PFA)を制御する機構としては、PI3K 経路と転写因子 Foxo3aによる制御が知られている。Foxo3aは原始卵胞中の卵母細胞において核に局在し、転写抑制によってPFAを抑制していると考えられている。PI3K経路が活性化するとFoxo3aがリン酸化され、核外に排出される。これによりPFAの抑制が解除され、原始卵胞は活性化して成熟過程にはいることが既に報告されている。我々は生殖細胞特異的な bHLH 型転写因子 Sohlh1とSohlh2がFoxo3aのリン酸化抑制を介してPFAを抑制に機能していることを発見した。Sohlhsのノックアウトマウス卵巣ではFoxo3aのリン酸化が亢進し、異常なPFAが誘導されるために卵胞が死滅していた。Foxo3aはSohlhsの転写標的遺伝子ではないため、間接的に活性制御を行っていると考えられる。現在はSohlhs とその下流で転写活性化される転写因子Lhx8とのタンパク質間相互作用に着目し、活性の制御機構について解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我々はSohlhとLhx8が直接に相互作用していることを見出した。Lhx8は2つのLimドメインとホメオドメインを持つ転写因子である。Lhxファミリータンパク質は、2種のドメインが分子内結合していると転写抑制に、他の活性化タンパク質が結合すると転写活性化に働くことが明らかにされている。SohlhがLhx8の活性化因子として機能しうるかどうかを検証するため、我々は結合部位を同定するためのプロテインマッピングを進めている。現在のところ、Sohlh同士がbHLHとその周辺配列を介してダイマーを形成すること、SUMO化部位の削除はタンパク質間結合には影響しないことがあきらかになった。今後、それらの変異タンパク質とLhx8の結合アッセイを進めて行く予定である。
以上の実験と平行して、Sohlhの転写を制御する上流因子解析を行っているが、現在までに有力な候補は得られていない。培養系の改善が必要であることが判明したため、予備実験に時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

Sohlhの変異タンパク質とLhx8の結合アッセイをさらに進めて行く。また、Lhx8ノックアウトマウスで転写が上方制御または下方制御されているような遺伝子のプロモーターをもちいて、SohlhによってLhx8の活性が制御されている可能性について検証をすすめていく。その他、最近新たに同定されたSohlhのコファクターとの関係についても検証する予定である。
Sohlhの転写を制御する上流因子解析も卵巣培養系を用いて引き続きすすめる。現在の系では卵胞の発生率があまりよくないため、系の改良をまず試みる予定である。
Sohlhの結合因子の網羅的探索については現在サンプリングを進めている。十分な量が得られ次第、解析を開始する。

次年度の研究費の使用計画

消耗品の納入価格変更等で小額で半端な金額が残ったため、無理に使用せずに次年度使用とした。
本年度分と合わせて消耗品に使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Spermatogonial SOHLH1 nucleocytoplasmic shuttling associates with initiation of spermatogenesis in the rhesus monkey (Macaca mulatta)2014

    • 著者名/発表者名
      Ramaswamy S, Razack BS, Roslund RM, Suzuki H, Marshall GR, Rajkovic A, *Plant TM.
    • 雑誌名

      Mol Hum Reprod

      巻: 20 ページ: 360-357

    • DOI

      10.1093/molehr/gat093

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Transition From Stem Cell to Progenitor Spermatogonia and Male Fertility Requires the SHP2 Tyrosine Phosphatase.2014

    • 著者名/発表者名
      Puri P., Phillips B.T., Suzuki H., Orwig K.E., Rajkovic A., Lapinski P.E., King P.D., Feng G.S., *Walker W.
    • 雑誌名

      Stem Cells

      巻: 32 ページ: 741-753

    • DOI

      10.1002/stem.1572.

    • 査読あり
  • [学会発表] Hsp-Sry Tgマウスを用いた精巣決定遺伝子SRYの標的遺伝子の同定2013

    • 著者名/発表者名
      Kento Miura, Kyoko Harikae, Mai Shinomura, Mayu Nakaguti, Ayako Tomita, Naoki Tsunekawa, Hitomi Suzuki, Masami Kanai, Masamichi Kuroumaru, Yoshiakira Kanai.
    • 学会等名
      第106回 日本繁殖生物学会大会
    • 発表場所
      東京農工大学農学部府中キャンパス
    • 年月日
      20130912-20130914
  • [学会発表] マウス卵巣における原始卵胞の休眠維持と活性化の制御機構2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木仁美、金井正美
    • 学会等名
      第60回実験動物学会総会
    • 発表場所
      つくば国際会議場
    • 年月日
      20130515-20130517

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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