研究課題
若手研究(B)
本年度は、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析より、炎症応答を制御する新規分子としてTRIM39を同定することに成功した。加えて、この遺伝子の複数存在する転写産物の内、培養細胞を用いた過剰発現系を樹立し、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行なったところ、TRIM39RがI型インターフェロン応答とそれに付随する抗ウィルス応答を惹起することを明らかとした。この成果は、国際誌Biochemical and Biophysical Research Communicationsにて公表することができた。また、国際的な学術会議、15th International Congress of Immunologyおよび第36回日本分子生物学会年会にても研究成果を発表することができた。miRNAに関しても同様に、研究成果を国際的な学術会議、15th International Congress of Immunologyでは、ルシフェラーゼ遺伝子を用いたハイスループットスクリーニングによる標的mRNAの同定につてい、また、第36回日本分子生物学会年会にてもmiRNAの網羅的発現解析について、研究成果を発表することができた。本年度は、さらに、T細胞の応答にこれらの分子がどのように関与するかを検討する。初代培養T細胞へは、レトロウィルスを用いて遺伝子導入および抑制する予定であり、実験を遂行するのに必要なコンストラクトは既に完成済みである。
2: おおむね順調に進展している
マイクロアレイにより単離した炎症を制御する新規分子の検証を行なった。T細胞にて遺伝子過剰発現系を樹立する予定であったが、Neonによる遺伝子導入がT細胞では、効率が悪く、樹立することができなかった。しかしながら、上皮細胞で過剰発現系が樹立できたので、網羅的遺伝子発現解析を行い、生物学的パスウェイを抽出することに成功した。結果として、I型インターフェロンおよび抗ウィルス応答を有意に惹起することが明らかとなった。今後、T細胞における過剰発現系と発現抑制系は、レトロウィルスを用いて、行なう予定である。次年度のmiRNAの標的分子の同定についてもルシフェラーゼを用いたハイスループットスクリーニングを予定しており、研究成果について、国際会議で発表することができた。
今後は、レトロウィルスを用いて、新規分子であるTRIM39Rを初代培養T細胞へ導入することを試みる。過剰発現および発現抑制系を樹立し、その際のT細胞のエフェクター機能等を検討する。サイトカインについてはELISAによって検討する。また、膜抗原に関しては、FACSによって検討する。過剰発現系を樹立後、免疫沈降法と質量分析装置を用いて、相互作用するタンパク質を同定する。TRIM39Rはユビキチンリガーゼであるので、ユビキチン化等も検討する。miRNAに関しては、ルシフェラーゼを用いたハイスループットスクリーニングによって標的mRNAの同定を試みる。次年度に予定している遺伝子改変マウス作成のためのコンストラクトを作成する。TRIM39Rに関しても遺伝子導入マウスやTRIM39遺伝子欠損マウスの作製を予定している。樹立した遺伝子改変マウスを用いて、T細胞依存的な病態モデルを検討し、自己免疫病態への関与を検討する。病態形成に差が出た場合は、T細胞サブセットへの分化や抗原提示時に及ぼす効果を検討する。研究成果を纏めて、国際的な学術雑誌に成果を発表することを目指す。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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