研究実績の概要 |
昨年度、マウスin vitro germinal center (GB)細胞の系を用いて、B細胞へレトロウィルスを介してTRIM39Rを導入し過剰発現系を樹立することに成功した。構築したベクターは、pMX-hTRIM39R-V5-IRES-EGFPであり、EGFPを指標にして、遺伝子導入された細胞だけを濃縮して、マイクロアレイ解析を行った。hTRIM39Rを導入したマウスB細胞は細胞死を起こしていると予測され、コントロールに比べ明らかに細胞数が減少していた。マイクロアレイにおいて、2倍以上発現変化している遺伝子群に細胞死に関与する遺伝子も多数含まれていた。また、炎症を負に制御する遺伝子の発現減少も見られた。しかしながら、統計的に優位な生物学的パスウェイの抽出には至らなかった。現在、抽出できた遺伝子の変化をqPCRで確認し、論文を作成しているところである。また、TRIM39Rの炎症を惹起する分子機序を検討するために、ドメイン欠損体を作製した。欠損させたドメインはB-Box, RING, Coiled-coilおよびPRYSPYであり、各ドメインをTRIM39BおよびTRIM39Rにてベクターを構築した。NFκBおよびIRF応答領域にルシフェラーゼを連結したレポーターコンストラクトを新たに樹立した。細胞へ導入し、LPSまたはIFNβを添加することにより転写活性上昇が確認できた。今後、各ドメイン欠損体を用いて、炎症惹起に必須のドメインおよび分子機序を同定していく。
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