研究課題/領域番号 |
25830064
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
熊谷 勝義 東京医科大学, 医学部, 助教 (20567911)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マウスES細胞 / マウスiPS細胞 / インスリン産生細胞 / Gck |
研究概要 |
糖尿病は発症後の罹病期間が長期に渡ると、インスリンを産生する膵β細胞数が減少して重症化する。重症化した糖尿病を改善させるためには、患者の体細胞からiPS細胞を樹立後にインスリン産生細胞へ分化誘導し、患者へ移植する方法が考えられるが、この場合、移植後のインスリン産生細胞は患者の体内で長期にわたり十分に機能していなければならない。インスリン産生細胞である膵β細胞内でグルコースセンサーとして機能するグルコキナーゼ(Gck)は膵β細胞の代償性過形成に関与し、また、グルコキナーゼ活性化薬による膵β細胞のインスリン分泌能増強作用と肝での糖利用亢進作用が認められる。すなわち、Gckは膵β細胞のインスリン分泌および自己増殖を担う重要な因子である。本研究では、Gckを強制発現させたマウスES細胞またはマウスiPS細胞より機能的なインスリン産生細胞を樹立し、生体へ移植することで新たな糖尿病の治療法を確立する。 具体的には、Gckを強制発現させたマウスES細胞またはマウスiPS細胞を作製し、in vitroにてインスリン産生細胞へ分化誘導を試みる。つぎに、分化誘導したインスリン産生細胞の中でインスリン分泌能および自己増殖能が最も良好な細胞株をsterptozotocin投与によってインスリン分泌を枯渇させることで糖尿病を発症させたマウスの腎臓皮膜下へ移植し、糖尿病の改善効果について検討する。なお、糖尿病・代謝関連解析を行うことで糖尿病の改善効果について評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに複数のGckを強制発現させたマウスES細胞を得ることができた。その中から、最も良好にGck発現する細胞株を複数得ることができた。また、マウスES細胞およびマウスiPS細胞よりin vitroでインスリン産生細胞への分化誘導を試みた。その結果、インスリン活性およびグルコース応答性インスリン分泌を示す細胞を得ることができた。これらの細胞は、STZ投与によりインスリン分泌を枯渇させることで人為的に糖尿病を発症させたマウスの腎臓皮膜下へ移植し、糖尿病の改善効果について検討した。その結果、移植後の血糖値が低下する傾向を示した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Gck発現を示すマウスiPS細胞を獲得し、すでに獲得しているGck発現を示すマウスES細胞と共にin vitroでインスリン産生細胞への分化誘導を試みる。その中から、インスリン活性およびグルコース応答性インスリン分泌を示す細胞の獲得を試み、STZ投与により人為的に糖尿病を発症させたマウスの腎臓皮膜下へ移植し、糖尿病の改善効果について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に使用する試薬類や器具類などの消耗品や動物の購入、病態解析などに利用する。 研究経費の殆どは分子生物学試薬、細胞培養器具、マウス作製、飼育、病態解析に用いられる予定である。分子生物学試薬としては、ES 細胞培養用試薬、RNA 抽出・精製試薬、cDNA 合成試薬、RT-PCR 試薬、PCR 試薬、TaqMAN アッセイ用プローブ、サザンブロッティング用メンブレン、ハイブリダイゼーション用試薬、P32(RI)、DNA オリゴ、タンパク質抽出・精製試薬、ウェスタンブロッティング用抗体(1 次・2 次抗体)、DNA マイクロアレイ用マウスオリゴチップ、細胞培養器具としては、培地、血清、培養シャーレ、ピペット、チップ、チューブなどがあげられる。さらに、マウス購入費、マウス維持費、病態解析などが内訳としてあげられる。
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