ミトコンドリアに局在する分子シャペロンであるTRAP1の発現の意義について検討した。尿路上皮癌細胞株において、TRAP1発現抑制による浸潤能増殖と、TRAP1強制発現系での浸潤能抑制を確認。さらに、免疫組織学的染色による腎盂尿管癌内のTRAP1発現評価により、TRAP1発現は表在部位と比較し浸潤部位で低下している傾向があり、TRAP1陰性癌では陽性癌と比較し、病理組織学的進達度が高い傾向があることを確認。また、TRAP1発現は腎盂尿管全摘除後の癌特定的生存率の独立した有意な予測因子であった。腎盂尿管においてTRAP1が細胞浸潤を抑制し、その発現が有用な予後予測因子となり得る可能性が示唆された。
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