高血圧症や糖尿病は臓器障害を引き起こすだけでなく、腎癌の独立した危険因子であることが報告されているが、その成因は明らかになっていない。HCaRGは腎尿細管に強く発現し、障害後の再生をコントロールしている。 このHCaRGを高発現させた腎細胞癌細胞では、癌細胞の増殖が抑制され、プログラム細胞死が増加していた。この細胞をマウスの皮下に移植したところ、HCaRGは腫瘍の増大や血管新生を抑制した。高血圧病態下の腎臓は常にストレスを受けており修復のために常にHCaRGの発現が亢進している。しかし、HCaRGの発現が低下した場合には、HCaRGによる修復作用が失われ腎細胞癌のリスクが高まると考えられた。
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