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2015 年度 実績報告書

神経芽腫の標的分子NLRR1による細胞増殖シグナルの選択的制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25830092
研究機関千葉県がんセンター(研究所)

研究代表者

高取 敦志  千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ, 研究員 (40455390)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード癌 / シグナル伝達 / NLRR1 / 細胞増殖
研究実績の概要

これまでの検討から、NLRR1の細胞内シグナルの中でも特に細胞増殖を促進する成長因子(EGFやIGF)によるシグナル伝達を正に制御し、がんの増悪化に寄与する一方で、ALKなどの他の受容体シグナルを抑制する機能を持つことが明らかとなった。一方、同じファミリー遺伝子であるNLRR3は細胞分化を促進することが示されていた。平成27年度では、さらにもう一つのファミリー遺伝子であるNLRR2の機能が明らかとなってきた。NLRR2は他のファミリーとは異なり、細胞内ストレス応答におけるJNK/c-Junシグナル伝達の活性化により遺伝子発現制御を受け、神経芽腫由来細胞においてレチノイン酸処理やDNA傷害ストレスに対して細胞生存を高める効果があることが分かった。神経芽腫の臨床サンプルにおいて遺伝子発現レベルを検討した結果、NLRR2高発現群において有意に予後が不良であることが明らかとなった。このことはNLRR1およびNLRR2の高発現により神経芽腫が増悪化することが示唆される。
一方、NLRR1と神経芽腫モデルマウスとのコンパウンドマウスの作出はできなかったが、NLRR3のノックアウトマウスの戻し交配作業を進めつつ、表現型の解析を始めた。これまでのところ、NLRR1ノックアウトマウスとは異なり、NLRR3ノックアウトマウスにおいては顕著な表現型は確認されていない。
本研究課題によって、NLRR1およびそのファミリー遺伝子による細胞内機能およびその遺伝子発現制御機構が明らかとなった。これらの遺伝子は細胞増殖・分化を制御し、神経芽腫細胞の運命決定において重要な役割を果たすことにより、神経芽腫の進展に大きな影響を及ぼし予後因子となることが明らかとなった。今後は得られた知見がNLRRファミリー遺伝子を標的とした新規治療法開発につながることが期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Effects of novel small compounds targeting TrkB on neuronal cell survival and depression-like behavior.2016

    • 著者名/発表者名
      Fukuda M, Takatori A, Nakamura Y, Suganami A, Hoshino T, Tamura Y, Nakagawara A
    • 雑誌名

      Neurochemistry International

      巻: 97 ページ: 42-48

    • DOI

      10.1016/j.neuint.2016.04.017

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] in silico スクリーニングで同定された低分子化合物はTrkBの活性化を誘導し、マウスのうつ病様症状を低下させる2015

    • 著者名/発表者名
      福田真佑、高取敦志、中村洋子、菅波晃子、星野忠次、田村裕、中川原章、田川雅敏
    • 学会等名
      第38回分子生物学会年会第88回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] NLRR2 is involved in neuronal survival and differentiation through JNK pathway in neuroblastoma2015

    • 著者名/発表者名
      Afzal Sheikh,Atsushi Takatori,Md.Shamim Hossain,Md.Kamrul Hasan,Toshinori Ozaki,Hiroki Nagase,Masatoshi Tagawa,Akira Nakagawara
    • 学会等名
      第74回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10
  • [学会発表] Novel candidate compounds identified by in silico screening activate TrkB and attenuate depressant-like behavior in mice2015

    • 著者名/発表者名
      Mayu Fukuda, Atsushi Takatori, Yohko Nakamura, Akiko Suganami, Tyuji Hoshino, Yutaka Tamura and Akira Nakagawara
    • 学会等名
      第58回日本神経化学会
    • 発表場所
      埼玉県さいたま市
    • 年月日
      2015-09-11 – 2015-09-13

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公開日: 2017-01-06  

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