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2013 年度 実施状況報告書

ヒストン修飾リーダー因子による正常及びがん幹細胞の分化多能性の維持機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25830094
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人国立がん研究センター

研究代表者

服部 奈緒子  独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30611090)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードエピジェネティクス / ヒストン修飾 / ES細胞 / 幹細胞 / クロモドメイン
研究概要

ヒストン修飾を認識するタンパク質「リーダー」は、エピジェネティック情報を細胞の表現系へと変換する重要な因子である。本研究では、細胞の分化多能性に関わるリーダーを同定する目的で、クロモドメインタンパク質Cdyl2の正常マウス幹細胞およびがん幹細胞での機能解析を遂行している。
1年目の本年度は、Cdyl2によるマウスES細胞の分化方向性への影響と発現変動遺伝子の同定を行った。Cdyl2欠損マウスES細胞は、未分化培養条件下においても、未分化コロニーを維持できない、未分化マーカーNanogの発現が低下する、分化マーカーFgf5, HoxA3の発現が上昇する、という表現系を呈し、外胚葉系への分化が誘導されていると考えられた。Cdyl2の下流遺伝子を同定する目的で、発現アレイを行ったところ、欠損ES細胞2株で共通して発現上昇している遺伝子が9遺伝子同定され、幹細胞性に関連するIgfbp3、細胞増殖抑制に働くSfrp1などが含まれていた。さらに、Cdyl2を通常よりも2倍程度発現させたマウスES細胞の作製に成功し、レチノイン酸添加による分化誘導実験を行った。コントロール細胞と比較して、未分化マーカーOct-4, Nanogの発現は高く保たれており、内胚葉分化マーカーGata4の発現が上昇していた。これらの結果から、Cdyl2はマウスES細胞の未分化状態の維持に重要であり、さらに、過剰発現により分化能を撹乱することを見いだした。また、免疫沈降-ウェスタンブロットにより、Cdyl2と結合する因子の候補として細胞増殖に関連するPcnaを同定した。
今後は、正常マウス幹細胞で得られた結果を応用し、ヒトCDYL2のがん幹細胞における機能を解析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時の計画通り、マウスES細胞におけるCdyl2の分化方向性への影響を明らかにし、下流遺伝子の候補を同定したため、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、ヒトCDYL2のがん細胞における機能解析を目的とする。これまでに予備的データとして、一部のヒト乳がん細胞株および乳がん検体でCDYL2が高発現していることを見いだしている。そこで、がん幹細胞の分化多能性に着目し、がん幹細胞分画でのCDYL2の発現とその機能について解析を進める。

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公開日: 2015-05-28  

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