日本人において頻度の高い、予後不良がんである明細胞型卵巣癌の治療標的分子の探索にあたり、我々は固形癌の微小環境中において認められる低酸素環境の中で、我々が新たに見出した癌応答メカニズム(HIFs-Sp1)に着目した。我々は本研究において低酸素、低血清環境の共存する環境下で明細胞型卵巣癌細胞を培養すると、CD69分子が顕著に発現誘導されることを初めて明らかとした。また低酸素、低血清環境下CD69はがん細胞の運動能、浸潤能を促進することが、in vitro実験により示された。そのメカニズムとして癌細胞におけるインテグリンの活性化を介した細胞外接着分子依存的な細胞接着能亢進が挙げられた。
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