子宮筋腫(17症例)、子宮内膜症(59症例)、子宮体癌(15症例)、子宮頸癌(4症例)および卵巣癌患者(36症例)血清を用いて、これまでに構築した以下のアッセイシステム:a) CA125上のシアリルTn抗原(sTn/CA125)レベル、b) シグレック-9に結合能をもつCA125(CA125sig9)レベル、c) メソテリンに結合能をもつCA125(CA125meso)レベルの測定を行った。この結果、a) sTn/CA125レベルおよびc) CA125mesoレベルが子宮内膜症と卵巣癌患者間におけるCA125の質的差異を評価する有用な指標となることを見いだした。このうち、sTn/CA125アッセイに関しては、従来のCA125アッセイと比較して、子宮内膜症への偽陽性率が有意に低下することを明らかにした。しかしながら、腹水および血清検体を用いた先行研究の結果と同様に、sTn/CA125アッセイでは卵巣癌への陽性率も低下することが確認され、単独マーカーとしの本手法の有用性は見いだせなかった。次に、CA125mesoレベルの測定では、卵巣癌患者においてCA125アッセイと同程度の陽性率にカットオフ値を設定した場合でも、有意に子宮内膜症への偽陽性率が低下することを見いだした。さらに、本手法は内在性のメソテリンやCA125以外のムチン(CA15-3/MUC1)の共存下においても、正確にCA125mesoレベルを測定することができ、これらの内在性分子の増加が認められる卵巣癌患者にも適応可能であることが明らかになった。 本研究において、従来のCA125アッセイの改良法として、CA125mesoアッセイの有用性を見いだせたことは大きな成果であると考えている。CA125mesoアッセイに関しては学会、学術論文での発表とともに特許申請も行った。
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