上皮性卵巣癌は婦人科癌の中で最も死亡数が多い悪性腫瘍である。卵巣癌の血清診断マーカーの中で、CA125は代表的なマーカーとして利用されているが、子宮内膜症などの良性疾患に対して高い偽陽性率を示す。本研究では、卵巣癌の診断精度の向上を目的として、子宮内膜症と卵巣癌患者におけるCA125の質的差異を検出する新たなアッセイ方法の開発に取り組んだ。この結果、卵巣癌患者由来のCA125は子宮内膜症患者由来の同分子と比較して、メソテリン結合能が有意に高いことを見いだした。つまり、メソテリンへの結合能は両疾患における本腫瘍マーカーの質的差異を評価する上での有用な指標となることが示唆された。
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