研究課題/領域番号 |
25830112
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北原 征明 金沢大学, 大学病院, 助教 (70632660)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 樹状細胞 / 肝癌 / ヒトテロメラーゼ逆転写酵素 |
研究概要 |
肝癌患者および健常者の末梢血単核球より樹状細胞(以下DC)の誘導を行い,その特徴と機能解析を行った.C型関連肝癌患者および健常者の末梢血単核球から接着細胞を分離しGMPグレードのGM-CSF,IL-4を含む培地中で5日間培養した.末梢血から得られた接着単核球の多くはCD14陽性の単球の特徴を示していたが,GM-CSFおよびIL-4刺激5日後にはCD14陰性,lin陰性,HLA-DR陽性の特徴を示す未熟DCが誘導された.肝癌患者由来のDCでは健常者と比較し,DCサブセットにおけるCD11c陽性のミエロイドDCの割合および,FITC標識されたデキストランを用いた貪食能が高い傾向にあったが,サイトカインであるIL-12産生能は同等であり,リンパ球刺激能は低下していた.B型関連肝癌患者でも同様の傾向が認められ,現在TNFα,IL-6,IL-1β,PGE2,OK-432等の免疫賦活物質を添加して上記機能の変化等を検討している. 上記と並行して,我々がこれまでに臨床試験で用いてきたhTERT-461(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素由来ペプチド)に関し,ペプチド産生能の高いmRNA配列の決定と化学合成を進めた.ペプチドの発現確認系に関しては,ペプチドの両末端にHis-tagとMyc-tagの2種類のタグ配列を付加し,ELISA法による系を構築し,高感度に定量検出できることを見出した.mRNAの化学合成を簡便にするため,mRNAの5’末端に存在する塩基配列の探索を行い,バキュロウイルスである Autographa californica nuclear polyhedrosis virus の polyhedrin遺伝子由来のリーダー配列を用いる方針とした(CHO細胞を用いてペプチド産生能を測定).現在,DCへのmRNA導入条件の最適化を行うため,エレクトロポレーションの条件検討を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝癌患者における背景肝別のDCの特徴と機能解析に関しては,HBVおよびHCV関連では概ね結果が得られているものの,非B非C関連に関しては患者数が少ないこともあり実施できていない. 機能的なDCの誘導法の開発に関しては,各種免疫賦活物質を用いた追加刺激後の機能解析が遅れている.またhTERT遺伝子を有するmRNAは決定されたものの,エレクトロポレーション法による導入の至適条件の決定が行えていない.
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今後の研究の推進方策 |
肝癌患者における背景肝別のDCの特徴と機能解析に関しては,非B非C関連肝癌患者の検討を進める. 機能的なDCの誘導法の開発に関しては,肝癌患者の末梢血単核球より誘導されたDCに各種免疫賦活物質を用いた追加刺激を行い,順次機能解析を行う.またhTERT遺伝子を有するmRNAのエレクトロポレーション法による導入の至適条件の決定を行うとともに,ペプチドのパルスに関しても至適条件の検討を進め,最終的に誘導されたDCの抗原(hTERT-461)に特異的な免疫反応の確認も行う方針である.
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次年度の研究費の使用計画 |
効率的な予算執行により端数が生じ,未使用額となった. 未使用額も合わせ,がん抗原特異的免疫反応を確認するための試薬購入等に使用する予定である.
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