研究課題/領域番号 |
25830116
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 創世子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (10649023)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | WT1 / WT1特異的CTL / memory / single cell定量PCR |
研究概要 |
これまでに我々は、抗腫瘍効果が認められた癌患者と認められなかった癌患者のWT1特異的CTLをCD45RAとCCR7の細胞表面発現を指標として分化段階を評価した。その結果、抗腫瘍効果が認められた癌患者ではWT1特異的CTLの中でもEffector memory分画(CD45RA-CCR7-)の細胞が長期間にわたって維持されていることから、WT1特異的 effector-memory CTLの中に長期的に腫瘍細胞傷害活性を維持するWT1特異的CTLが存在すると考えた。そこで、高い抗腫瘍細胞傷害活性をもつ真の癌抗原特異的CTLを検出するためにsingle cell定量PCR装置(Fluidigm社:BioMark)を導入し、単一細胞由来の複数の遺伝子発現を検出する系の確立を試みた。まず初めに、single cell sortingの効率を確認するために蛍光蛋白GFP発現細胞をflat底96well plateにsingle cell sort後鏡検した結果、80%以上のsingle cell sorting効率であった。さらに発現を解析する遺伝子セットを選択するために、ハウスキーピング遺伝子(GAPDH、β-actin)の発現を指標に96種類の遺伝子発現を健常人末梢血中単核球、癌患者末梢血中単核球について検討した。これらの検討より、stemnessやmemoryに関与すると予想される86種類の遺伝子セットを選択した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
癌患者生体内で見られるWT1特異的CTLは、分化・活性化が進んでいることが明らかとなりつつあるが、それらは様々な分化段階の細胞であり、遺伝子背景が異なる極めて不均一な一つ一つの細胞で構成されている。このようなWT1特異的CTLについて、single cell定量PCR装置(Fluidigm社:BioMark)を用いて、single cellレベルで多くの標的遺伝子の発現レベルを網羅的に測定する実験系が構築されつつある。また、その注目すべき標的遺伝子の選定がほぼ終了した。
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今後の研究の推進方策 |
長期生存という臨床効果が認められた患者と認められない患者では、WT1ペプチドワクチン投与前のWT1特異的effector-memory CTLにおいて86種類の遺伝子発現パターンにどのような違いがあるかを明らかにする。さらにWT1ペプチドワクチン投与後、それら遺伝子発現パターンの変化に異なる特徴が認められるかを解析する。その上で臨床効果が認められた癌患者のWT1特異的CTLに特有の遺伝子発現パターンを明らかにする。
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