研究課題/領域番号 |
25830119
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
須田 健一 近畿大学, 医学部, 助教 (30631593)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 獲得耐性 / 肺癌 / EGFR遺伝子変異 / 分子標的治療薬 |
研究概要 |
本年度は、EGFR二次的変異(T790M変異)を有するエルロチニブ耐性株HCC827EPR株より、以下の獲得耐性株を樹立する研究をおこなった。①不可逆的EGFRキナーゼ阻害剤(PF299804:第2世代EGFR-TKI)獲得耐性株および、②T790M特異的EGFRキナーゼ阻害剤(CNX-2006:第3世代EGFR-TKI)獲得耐性株。このうち、CNX-2006獲得耐性株について樹立に成功した(HCC827CNXR株と命名)。HCC827CNXR株は、HCC827EPR株と比較し、CNX-2006に約50倍の耐性を有していた。また、第1世代EGFR-TKIであるエルロチニブ、2世代EGFR-TKIであるアファチニブに対しても交差耐性を有することを確認した。候補遺伝子解析およびリン酸化RTKアレイ解析をおこなった結果、METおよびRONの活性化が獲得耐性に関わる可能性を同定した。 一方、EGFR野生型肺癌細胞株よりエルロチニブ獲得耐性株を樹立する研究についても並行しておこなった。H358株より樹立されたH358ER株を親株と比較し、IGF-1Rの活性化がエルロチニブ獲得耐性に関わること、IGF-1Rを抑制することによりH358ER株においてエルロチニブ感受性が回復することを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T790M特異的EGFRキナーゼ阻害剤獲得耐性の樹立に成功し、シングルクローンも順調に作成中である。また、獲得耐性に関わる分子機序の探索についても、計画通りに進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
T790M特異的EGFRキナーゼ阻害剤に対する獲得耐性として昨年度に同定したMETの活性化・RONの活性化について、①その活性化機序の検討(遺伝子コピー数、遺伝子発現レベルの検討)、②METとRONの関係(同一細胞内で両者がともに活性化しているのか、またはMET活性化のある細胞とRON活性化のある細胞が混在しているのか)、および③METまたはRONの抑制により獲得耐性が克服できるか、について検討する。また、現在樹立途中のシングルクローンについても、それぞれのクローンについて解析を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
獲得耐性株における耐性機序の解析において、比較的早い段階で候補分子を絞り込むことができたため、遺伝子発現解析などのより網羅的な解析が不要となったため。 候補分子として、METとRONの2種類が同定された。このため、siRNAやウエスタンブロット用の抗体が予定の2倍必要となり、繰り越し金額はこのための物品費に充てる予定である。
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