研究課題
若手研究(B)
進化の中心要素であるゲノム配列より、遥かに環境要因に柔軟に適応するエピゲノムのほうが、進化を推進するプライマリーな要素だと考えられる。しかし、エピジェネティック情報と生命現象の制御との関係は未解決な問題が多く、特に進化上の重要プロセスである全ゲノム重複について、網羅的なエピゲノム研究はほとんど行われておらず、その保存パターンと制御の詳細についてまだ解明されていない。本研究では、メダカを使ってDNAメチル化や、クロマチン修飾因子などのエピジェネティック情報を収集解析し、全ゲノム重複によって形成されたパラログ領域におけるエピジェネティック情報の進化と制御を解明することを目指している。平成25年度は、所属する研究室の並列計算機を用いて、収集したメダカのDNAメチル化とクロマチン修飾マークなどのエピジェネティック情報の解析と、DNAメチル化のlinkage情報を得られるための実験を試みた。具体的には、バイオインフォマティクスの手法を使って、Ka/Ks解析によって全ゲノム重複に由来する染色体ブロックの同定と、パラログ遺伝子のゲノム配列の保存度の比較と、進化的に保存された低メチル化領域のエピゲノムの特徴を分析した。その結果として、パラログ遺伝子領域に関して、ゲノム配列の保存度と配列上のDNAメチル化の保存度とは相関していないことを見出し、DNAメチル化の進化にはトランスエレメントが関与することが示唆された。情報解析に使われているデータには、所属する研究室に別経費で収集したメダカのクロマチン修飾マーク(H3K4me2、H3K27me3)や、公開済みのデータなども含められている。現在はエピジェネティック情報と進化・制御との関係を解析しながら、DNAメチル化のlinkage情報を得られるためのIllumina社MiSeq Systemsを使う全ゲノムバイサルファイトシーケンシング実験の設計をし、予備実験と情報解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
次世代シーケンサー(Illumina社HiSeq Systems)で解読されるエピジェネティック情報の実験データの収集については、研究協力者から支援されながら順調に進行している。所属する研究室の並列計算機を使う情報解析の進捗もおおむね順調である。Illumina社MiSeq Systemsを使うDNAメチル化のlinkage情報の収集は、まだ予備実験を行っている段階で、平成26年度に完了する見込みである。
本研究を遂行するあたり、平成26年度はトランスクリプトーム情報を得られるためのRNA-Seq実験と、DNAメチル化のlinkage情報得られるための全ゲノムバイサルファイトシーケンシング実験を行い、エピジェネティック情報の情報解析を推進する予定である。
本研究を遂行するあたり、平成26年度はトランスクリプトーム情報を得られるためのRNA-Seq実験と、DNAメチル化のlinkage情報得られるための全ゲノムバイサルファイトシーケンシング実験を行い、エピジェネティック情報の情報解析を推進する必要がある。引き続き、全ゲノムの発現量情報と、DNAメチル化のlinkage情報を収集するために必要な試薬や消耗品の購入、成果発表のための論文投稿費用と旅費として使用する計画である。
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eLS
10.1002/9780470015902.a0021004.pub2
http://utgenome.org/methylome/