研究課題
一部のシアノバクテリアは、緑色光と赤色光に応答して光合成のアンテナ色素タンパク質(フィコシアニンとフィコエリスリン)の組成を調節する能力を持ち、この現象は補色順化と呼ばれている。本研究は、シアノバクテリアの補色順化の分子機構の多様性を、次世代シークエンサーを用いて明らかにする事を目的とした。H25年度の解析で得られたゲノムデータを精査したところ、野外から採取したシアノバクテリアの一部に従属栄養細菌が混入していた。そのため、抗生物質によってシアノバクテリアのみを効率よく純化する手法を確立した。続いて、純化した株からゲノムDNAを抽出し、次世代シークエンサーMiSeqを用いてドラフトゲノム解析を実施した。補色順化の光センサーであるCcaS/CcaR遺伝子によって制御されるアンテナ遺伝子セットにバリエーションの存在を発見した。一方、別の光センサーであるRcaE/RcaF/RcaC遺伝子によって制御されるアンテナ遺伝子セットは高度に保存されていた。ドラフトゲノムを決定した種のうち、Geminocystis sp. NIES-3708およびGeminocystis sp. NIES-3709については完全ゲノム配列決定を行った(Hirose et al 2015a Genome annouc.; Hirose et al 2015b Genome annouc.)。これらの2種の補色順化能を低温蛍光スペクトル解析とRNA-Seq解析によって比較したところ、フィコエリスリンのリンカータンパク質であるCpeCおよびCpeEの調節が、補色順化に中心的な役割を果たしている事が明らかになった。奇妙な事にフィコシアニンのリンカータンパク質であるCpcCが両種には存在しなかった。今後のタンパク質レベルでの詳細な解析によって定説を覆すような知見が得られるかもしれない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (2件)
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