研究課題/領域番号 |
25830134
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岩崎 由香 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80612647)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 小分子RNA / 転移因子 / 遺伝子発現制御 / RNAサイレンシング / 生殖組織 / Argonauteタンパク質 |
研究概要 |
ヒトなど哺乳類のゲノムの40%以上といった膨大な領域はレトロトランスポゾン(転移因子)によって占められており、その適切な制御がゲノムの品質管理の鍵となる。ショウジョウバエ生殖細胞などにおいては、piRNAやesiRNA (endogenous siRNA) といった小分子RNA群が主なレトロトランスポゾン制御因子として報告されている。一方、哺乳類における小分子RNAを介したレトロトランスポゾン抑制に関しては研究が進んでおらず、未知の部分が多い。そこで、本研究では次世代シーケンサを用いて哺乳類モデル生物として知られているコモンマーモセット精巣由来の小分子RNA配列を網羅的に解析した。結果、コモンマーモセット精巣において、トランスポゾン領域由来のmiRNAなどの新規miRNAを同定すると同時に、発現している小分子RNAの大部分がpiRNAに占められていることを見いだした。そこで、マーモセットPIWIタンパク質 (PIWIL1/MARWI) に対するモノクローナル抗体を作製し、これに結合する小分子RNAを解析した。同定されたpiRNAの多くは、特定のゲノム領域(piRNAクラスター)やトランスポゾンに由来していた。加えて、特定のtRNAおよび偽遺伝子から産生されているpiRNAを確認し、これらが遺伝子の発現調節を担っている可能性を見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コモンマーモセット精巣を用いた小分子RNAの網羅的解析により、多数の新規piRNAおよびmiRNAを含む、霊長類精巣小分子RNAプロファイルを見いだした。加えて、小分子RNAと複合体を形成するArgonauteタンパク質のうち、コモンマーモセット精巣で最も発現量が高いPIWIL1/MARWI 結合小分子RNAについてRIP-seqを用いて詳細に解析し、ゲノム中の新規小分子RNAコード領域(piRNAクラスター領域)などを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに同定された小分子RNAの実験的な検証を行う。さらに、小分子RNAが標的とする遺伝子、並びに関与し得る生命現象について、引き続き解析をすすめる。
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