研究課題
様々な生物種においてゲノムの大きな割合をトランスポゾン(転移因子)が占めており、これらを適切に制御することがゲノムの品質管理の鍵となる。しかしながら、ヒトをはじめとした霊長類においてどのような小分子RNAが発現し、トランスポゾンを抑制しているかについては未知の部分が大きい。そこで、霊長類モデル生物コモンマーモセット (Callithrix jacchus) の小分子RNAを次世代シーケンサにより網羅的に解析した。その結果、コモンマーモセット精巣において、トランスポゾン領域由来のmiRNAなどの新規miRNAを同定すると同時に、発現している小分子RNAの大部分がpiRNAに占められていることを見いだした。piRNAについてより詳細な解析を行うために、マーモセットPIWIタンパク質に対するモノクローナル抗体を作製し、これに結合するpiRNAを次世代シーケンサにより同定した。同定されたpiRNAの一部は、特定のtRNAおよび偽遺伝子から産生されており、これらがトランスポゾン並びにタンパク質コード遺伝子の発現調節を担う可能性を示した。一方で、piRNAの多くは、トランスポゾンと相同性が高いゲノム領域やトランスポゾンに由来していた。そこで、トランスポゾンの転移能とそこから発現するpiRNA量などの特徴を解析し、piRNA産生領域にトランスポゾンが転移することによりトランスポゾンを標的とするpiRNAが産生される、という抑制モデルを提唱した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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