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2013 年度 実施状況報告書

新規な一塩基置換導入法の確立と疾患関連SNPの機能解析への応用

研究課題

研究課題/領域番号 25830138
研究種目

若手研究(B)

研究機関広島大学

研究代表者

落合 博  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60640753)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード人工ヌクレアーゼ / 遺伝性疾患 / 遺伝病 / ゲノム編集 / 一塩基置換 / SNP / TALEN / 相同組換え
研究概要

近年DNAシークエンス技術やゲノムワイド関連解析技術の発展に伴い、多くの疾患関連多型が見出されてきている。しかし、その多くは非エクソン領域中に存在しており、それが疾患の原因となっているのか、または中立な多型であるのかを判断することが困難であった。非エクソン領域中の一塩基多型(SNP)がヒト遺伝性疾患の原因であるか否かを判断する一つの方法は、ヒト正常細胞に当該SNPを導入し、表現型を調べることである。しかし、既存の方法でゲノム中の特定一塩基を置換した細胞株を樹立することは困難であった。本研究では、1) 人工ヌクレアーゼTALENを利用した効率的一塩基置換導入法を開発し、さらに、2) 本法を用いてヒト正常細胞に、遺伝子間領域中に認められる染色分体早期解離(PCS)症候群の発症に関連するSNPを導入し、本疾患との因果関係を明らかにすることを目的として研究を行った。
一塩基置換を導入するために以下の手法を考えた。まず、TALENを利用して目的一塩基多型付近のゲノムDNAを切断し、相同組換え修復を介して薬剤耐性遺伝子を挿入する。このセレクションカセットにはhsvTK遺伝子が含まれており、ガンシクロビル処理することにより細胞を死滅させることができる。その後、セレクションカセット両端を切断するTALEN、ターゲティングベクターおよびガンシクロビル処理を利用してこれらを除くとともに、目的一塩基置換を導入する。研究代表者は上記の手法をヒト結腸がん細胞HCT116に応用し、PCS症候群の発症と関連するSNPを両対立遺伝子に導入することに成功した。さらに、細胞生物学的解析から、本手法で確立した細胞がPCS症候群患者細胞と同様の形質を示すことが明らかとなった。このことから、本SNPがPCS症候群発症の原因となっていることが強く示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初大きな目的の一つであった、PCS症候群と発症関連一塩基多型の因果関係が明らかとなったため、研究自体は順調に進んでいると判断する。ただ、一塩基置換導入の効率は高いとは言えず、まだ改良の余地が残されている。一塩基置換導入技術は疾患の原因解明だけに留まらず、基礎研究はもちろん農学分野など幅広い領域で求められている技術であり、より効率的に、簡素に一塩基置換を導入する手法を開発する必要があると考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、より効率よく一塩基置換の導入を行うために、一塩基置換感受性人工ヌクレアーゼの開発を行う。これと一本鎖DNAを利用して効率的一塩基置換導入法の確立を目指す。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] TALEN-mediated single-base-pair editing identification of an intergenic mutation upstream of BUB1B as causative of PCS (MVA) syndrome.2014

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Ochiai, Tatsuo Miyamoto, Akinori Kanai, Kosuke Hosoba, Tetsushi Sakuma, Yoshiki Kudo, Keiko Asami, Atsushi Ogawa, Akihiro Watanabe, Tadashi Kajii, Takashi Yamamoto, Shinya Matsuura
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America

      巻: 111 ページ: 1461-1466

    • DOI

      10.1073/pnas.1317008111

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 哺乳類培養細胞におけるTALENを用いた遺伝子改変 ~マウスES細胞における遺伝子ターゲティングを例に2014

    • 著者名/発表者名
      落合 博
    • 雑誌名

      実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ 今すぐ始めるゲノム編集 TALEN&CRISPR/Cas9の必須知識と実験プロトコール

      巻: 40 ページ: 62-72

  • [雑誌論文] High efficiency TALENs enable F0 functional analysis by targeted gene disruption in Xenopus laevis embryos.2013

    • 著者名/発表者名
      Ken-Ichi T Suzuki, Yukiko Isoyama, Keiko Kashiwagi, Tetsushi Sakuma, Hiroshi Ochiai, Naoaki Sakamoto, Nobuaki Furuno, Akihiko Kashiwagi, Takashi Yamamoto
    • 雑誌名

      Biology open

      巻: 2 ページ: 448-452

    • DOI

      10.1242/bio.20133855

    • 査読あり
  • [学会発表] TALEN-mediated single-base-pair editing in PCS syndrome2014

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Ochiai
    • 学会等名
      3rd International Genome Engineering & Genome Editing-2014 Meeting on 'Synthetic Biology to Zinc Finger Nucleases & CRISPRs Regulation'
    • 発表場所
      Boston, USA
    • 年月日
      20140505-20140506
    • 招待講演
  • [学会発表] TALEN-mediated single-base-pair editing reveals the functional significance of an intergenic single nucleotide variant2014

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Ochiai
    • 学会等名
      International Symposium on RNAi and Genome Editing Research
    • 発表場所
      Tokushima, Japan
    • 年月日
      20140314-20140316
    • 招待講演
  • [備考] 研究者紹介:ResearchGate

    • URL

      https://www.researchgate.net/profile/Hiroshi_Ochiai3/

  • [備考] 研究者紹介:Google scholar

    • URL

      http://scholar.google.com/citations?user=PO2IK08AAAAJ&hl=en&oi=sra

  • [産業財産権] DNA結合ドメインを含むポリペプチド2013

    • 発明者名
      7. 佐久間哲史、山本 卓、落合 博、松浦伸也、宮本達雄
    • 権利者名
      7. 佐久間哲史、山本 卓、落合 博、松浦伸也、宮本達雄
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013-166768
    • 出願年月日
      2013-08-09

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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