研究課題/領域番号 |
25830141
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
加藤 護 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (40391916)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 一細胞シークエンス / 次世代シークエンサー / がんゲノム / 発がん / がん細胞進化 |
研究概要 |
本年度は、来年度行う経時的な一細胞シークエンス実施のため、幾つかの準備を行った。まず一細胞シークエンス自体に関し、細胞株から得られた数細胞を使って、一細胞のエキソーム・シークエンスを行った。この過程で、micro-manipulation やFACSによる細胞分離と、それに引き続く全ゲノム増幅の実験技術を習得した。実際に一細胞のエキソーム・シークエンスデータを得、情報解析も行った。バルクセルでもシークエンスを行い、それらを比較して、一細胞のエキソームデータから点変異を検出できることを確認した。 また情報解析については、エキソームデータから、点変異のみならずコピー数変異も検出できるアルゴリズムを開発した。実際のがん進化過程では点変異と同様、コピー数変異も重要な役割を果たすであろう事が予想されるからである。 マウスを使った系に関しては、まず実験について、実際に腸管組織から細胞をFACS やmicro-manipulation で分離した。情報解析について、マウスのリファレンス配列を使った情報処理の解析基盤を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バルクセル、および一細胞シークエンスを実際に実行して情報解析までを行い、また、マウス腸管組織からの細胞分離も行い、来年度の経時的な一細胞シークエンスに向けて、個々の工程をほぼ確立したため。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究実施を通して、実験から情報解析への流れの中で細胞の分離ステップが技術上極めて重要であることを認識した。当研究所において、細胞分離をより効率的かつ高精度に実施できる機器が導入されたため、FACS やmicro-manipulation だけではなく、その機器を試す予定である。今年度、個々の工程―すなわち、マウスのサンプル採取、細胞分離、全ゲノム増幅、次世代シークエンサーによるシークエンス、情報解析のパイプライン―は、(細胞分離を除いて)ほぼ確定したため、来年度はこれらをつなぎ合わせて、経時的な一細胞シークエンスを実行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
経時的な一細胞シークエンスは、サンプル採取および細胞分離の関係から、バルクセルおよびシングルセルの両方を一度にシークエンスした方が良い事が分かり、両方にかかる費用を次年度でのそれらシークエンス実施費用に回すため。 次年度でのバルクセル・シークエンス、シングルセル・シークエンス、両方にかかるシークエンスのための消耗品代に使用する。
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