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最終年度は、Dpsによる核様体凝集の役割、特に遺伝子発現の制御に焦点を当てて研究を進めた。黄色ブドウ球菌を対象に、凝集株および非凝集株の遺伝子発現パターンをマイクロアレイなどを用いて解析したところ、核様体凝集による遺伝子発現制御がゲノムDNA上の一部に強く引き起こされることが明らかとなってきた。特定のDNA結合配列を持たないDNA結合タンパク質による核様体凝集が、ゲノム上の特定個所の遺伝子発現制御を担うという点において、興味深い結果となった。また、凝集によって制御される遺伝子からその生理的機能を探索した結果、酸化ストレスを含む複合的なストレス環境の生存に影響を与えることが分かってきた。
初年度から最終年度までを通じて、酸化ストレスからのゲノムDNA保護という観点で研究を進めてきたが、特定の酸化還元酵素に着目した研究ではなかなか成果をだすことができなかった。原因の一つが、特定の酸化還元酵素遺伝子の欠損株に着目した手法では、野生株との間で生理的に有意な差を得ることができなかった点があげられる。一方、酸化ストレスに応じて発現する黄色ブドウ球菌Dps遺伝子に着目した研究では、核様体の凝集そのものが特定の遺伝子発現を制御し、複合的なストレス環境下での生存に効果を発揮するという、核様体動態について新しい意義を見出すことができた。期間中、本テーマに直接関連する論文を2報、間接的に関連する論文を3報発表することができた。
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