研究課題
真核生物の細胞内に存在するRNAサイレンシング機構は、約20塩基長の小分子RNAが関与する塩基配列特異的な遺伝子発現制御機構であり、数多くの高次生命現象に関わる重要なメカニズムである。ガイド鎖と呼ばれる小分子RNAがトリガーとなる本機構は、遺伝子ノックダウンの手法として、バイオテクノロジー分野に広く応用されているだけではなく、ターゲット分子の選択性が非常に厳密であることから、新たな核酸創薬を担うシステムとして期待されており、ガン治療や再生医療研究分野における応用が待ち望まれている。これらの応用研究の発展には、本機構の詳細なメカニズムの解明が必要不可欠である。Argonauteタンパク質は、原核生物から高等生物まで広くゲノムにコードされており、多様なサイレンシング機構において中心的な役割を果たしている。一般的に、真核生物のArgonauteタンパク質は、ガイド鎖・ターゲット鎖が共にRNA分子であるが、光合成細菌ではターゲット鎖をDNAとする非常にユニークなArgonauteが機能している。平成26年度までに、光合成細菌のArgonauteタンパク質と核酸間の立体構造及び核酸の結合様式をX線結晶構造解析により明らかにした。本年度は、構造モデルを生化学的解析により検証し、Argonauteタンパク質と核酸の認識メカニズムの詳細の解明を行った。その結果、Argonauteタンパク質におけるアミノ酸の部位特異的変異導入実験によって、核酸の認識に重要なアミノ酸を特定することが出来た。さらに、核酸の変異(DNAもしくはRNA)による結合実験により、核酸の種類を識別するのに重要な構造的認識メカニズムを明らかにした。詳細は、研究成果報告書に記載する。
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Proteins
巻: 未定 ページ: 未定
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Genes to Cells
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