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2013 年度 実施状況報告書

核磁気共鳴法による巨大蛋白質多量体の動態解析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25840021
研究種目

若手研究(B)

研究機関名古屋大学

研究代表者

宮ノ入 洋平  名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80547521)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードNMR / 蛋白質動態
研究概要

平成25年度は、核緩和過程を最適化した新規アミノ酸の設計を進め、Lys Cεを観測対象とした[13Cε,ul-2H]-Lysを開発した。さらに、LeuやVal,Met残基のメチル基を観測対象とした新規アミノ酸の開発にも成功した。これらの新規アミノ酸を分子量80kDaのモデル蛋白質に導入し、GroEL14量体およびGroEL-ES複合体の解析に向けた予備実験を行った。その結果、Lys残基およびMet残基側鎖の13Cεシグナルを非常に高感度に観測することが出来た。
また、Leu、ValおよびMet残基のメチル基13CH3シグナルについても、非常に高感度かつ選択的に観測できることが明らかとなった。計画当初は、GroEL-ES複合体のような800kDaを超える巨大蛋白質複合体では、13CH3シグナルの広幅化やシグナル同士の縮重が懸念されていたが、申請者が開発した新規メチルシグナル標識法を利用する事で、シグナル同士の縮重を大幅に抑える事が可能となり、GroEL14量体やGroEL-ES複合体への適用も見出された。
また、GroEL14量体及びGroEL-ES複合体の大量発現系・精製法の確立を行った。これまでに高度好熱菌由来のGroEL-ES複合体およびGroEL14量体について、大腸菌生合成系を利用して重水素化試料を調製する事に成功した。さらに、アミノ酸特異的に標識された試料を調製する事にも成功した。
現在までに、GroEL14量体、GroES-EL複合体について、Phe,Tyr,MetおよびLys残基を特異的に標識した試料を調製し、13Cシグナルおよび13C-1Hシグナルの測定に成功している。また、いくつかの残基について一塩基置換変異体を作製し、シグナルの帰属を進行している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

数種のアミノ酸について、核緩和最適化SAILアミノ酸の開発し、その有用性をモデルタンパク質等を利用して確認する事が出来た。また、Gro蛋白質についても、大量発現系・精製法を確立する事が出来、目的となるアミノ酸を特異的かつ高効率に標識する手法を確立する事が出来た。
また、核緩和最適化SAILアミノ酸標識Gro蛋白質のNMR測定も進める事が出来、良好なスペクトルが得られ、シグナルの帰属等を進める事が出来た。
さらに、当初困難と思われていた13C-1Hシグナルについても、観測の可能性が見込まれ、動態変化の解析に応用できることが見出された。

今後の研究の推進方策

今年度は、変異体を利用したシグナル帰属を進め、GroEL-ES複合体の形成、基質結合に伴う動態変化の解析を目指す。シグナル解析としては、13Cシグナルのみならず、13C-1Hシグナルも含め、多角的に進めていく。現在、高度好熱菌GroEL14量体からGroEL-ES複合体を形成する再構成法が確立されていない。そのため、NMRシグナルの帰属を進めつつ。複合体形成の条件検討を行う。再構成法が困難な場合は、ATP結合や基質結合に伴う動態変化を優先して進める。または、既にEL-ES複合体の再構成法が確立している、大腸菌のGro蛋白質の系を優先する事も考慮する。既に、大腸菌Gro蛋白質の発現・精製法は確立している。

次年度の研究費の使用計画

研究打ち合わせのための交通費を計上していたが、予定よりも出張回数を若干抑えられたため差額が生じた。また、試薬購入に関して、予想よりも試料調製にかかる費用が安価に抑えられたため、差額が生じた。
昨年度未使用の助成金は当該年度に予定している変異体調製および学会参加費、論文印刷費に主に使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Differential isotope-labeling for Leu and Val residues in a protein by E. coli cellular expression using stereo-specifically methyl labeled amino acids2013

    • 著者名/発表者名
      Yohei Miyanoiri, Mitsuhiro Takeda, Kosuke Okuma, Akira M. Ono, Tsutomu Terauchi, Masatsune Kainosho
    • 雑誌名

      Journal of Biomolecular NMR

      巻: 57(3) ページ: 237-249

    • DOI

      10.1007/s10858-013-9784-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular bases of multimodal regulation of a fungal transient receptor potential (TRP) channel2013

    • 著者名/発表者名
      Makoto Ihara, Shin Hamamoto, Yohei Miyanoiri, Mitsuhiro Takeda, Masatsune Kainosho, Isamu Yabe, Nobuyuki Uozumi, Atsuko Yamashita
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 288(21) ページ: 15303-15317

    • DOI

      10.1074/jbc.M112.434795

    • 査読あり
  • [学会発表] 高分子量蛋白質の立体構造解析に向けた新規SAILアミノ酸標識法の開発2013

    • 著者名/発表者名
      宮ノ入洋平、武田光広、寺内勉、甲斐荘正恒
    • 学会等名
      第52回 NMR討論会
    • 発表場所
      石川県立音楽堂 〒920-0856 石川県金沢市昭和町20-1
    • 年月日
      20131112-20131114
  • [備考] 名古屋大学大学院理学研究科附属構造生物学研究センター 甲斐荘グループ 研究業績

    • URL

      http://str.bio.nagoya-u.ac.jp:8080/Plone/753265908358/753265908358/78147a76696d7e3e

  • [備考] 名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻 論文紹介

    • URL

      http://www.bio.nagoya-u.ac.jp/paper/index.html

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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