研究概要 |
平成25年度は、核緩和過程を最適化した新規アミノ酸の設計を進め、Lys Cεを観測対象とした[13Cε,ul-2H]-Lysを開発した。さらに、LeuやVal,Met残基のメチル基を観測対象とした新規アミノ酸の開発にも成功した。これらの新規アミノ酸を分子量80kDaのモデル蛋白質に導入し、GroEL14量体およびGroEL-ES複合体の解析に向けた予備実験を行った。その結果、Lys残基およびMet残基側鎖の13Cεシグナルを非常に高感度に観測することが出来た。 また、Leu、ValおよびMet残基のメチル基13CH3シグナルについても、非常に高感度かつ選択的に観測できることが明らかとなった。計画当初は、GroEL-ES複合体のような800kDaを超える巨大蛋白質複合体では、13CH3シグナルの広幅化やシグナル同士の縮重が懸念されていたが、申請者が開発した新規メチルシグナル標識法を利用する事で、シグナル同士の縮重を大幅に抑える事が可能となり、GroEL14量体やGroEL-ES複合体への適用も見出された。 また、GroEL14量体及びGroEL-ES複合体の大量発現系・精製法の確立を行った。これまでに高度好熱菌由来のGroEL-ES複合体およびGroEL14量体について、大腸菌生合成系を利用して重水素化試料を調製する事に成功した。さらに、アミノ酸特異的に標識された試料を調製する事にも成功した。 現在までに、GroEL14量体、GroES-EL複合体について、Phe,Tyr,MetおよびLys残基を特異的に標識した試料を調製し、13Cシグナルおよび13C-1Hシグナルの測定に成功している。また、いくつかの残基について一塩基置換変異体を作製し、シグナルの帰属を進行している。
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