研究課題
平成26年度は、膜タンパク質クローディン-4とクローディン-4ホモ多量体を認識する抗クローディン-4抗体との複合体調製に関する検討を行った。1、ヒトクローディン-4ホモ多量体認識抗体の発見:ヒトクローディン-4と抗体との複合体形成を反映した、サイズ排除カラム上での高分子量側への溶出ピークシフトの有無を指標とした、外部機関研究室から供与されたマウス抗ヒトクローディン-4抗体(マウス腹水より調製)のスクリーニングから、他の結合型クローンよりも顕著に高分子側へピークシフトする、ヒトクローディン-4のホモ多量体を認識する抗体を見出すことが出来た。2、抗クローディン-4抗体フラグメントの調製:ヒトクローディン-4のホモ多量体を認識する抗体の結晶構造解析に適した抗体フラグメント(Fab、Fv、一本鎖Fv)を作成し、大腸菌無細胞タンパク質合成技術を利用して発現を確認した。これらのうち、Fabと一本鎖Fvは結晶構造解析に耐えうる高い発現量であった。このFabと一本鎖Fvサイズについて排除カラム上の挙動を指標にヒトクローディン-4結合能を調べたところ、どちらも全長抗体と遜色ない高い結合能を確認出来たことから、大腸菌無細胞タンパク質合成技術を利用した大量調製に移行した。3、ヒトクローディン-4・抗クローディン-4抗体一本鎖Fv複合体の大量調製:主に、ホモ多量体を認識すると示唆されるクローンの一本鎖Fvとの複合体の大量調製を進めている。精製一回につき、約1.8 mgの精製標品が調製可能となっており、結晶化条件スクリーニング実施に向けた試料供給体制が整った。
2: おおむね順調に進展している
本課題申請時に計画していた平成26年度の『大量精製~結晶化条件スクリーニング』および『ホモ4量体精製条件最適化』の目的のためにも、外部機関研究室から供与された抗体の評価や調製を行ったところ、期待するホモ多量体を認識する良質な抗体クローンを見出し、この抗体との複合体に関して結晶化条件スクリーニング実施に向けた試料供給体制も整ったことから、結果として当初の計画通り進展している。
平成27年度は『結晶化条件スクリーニングと結晶化条件最適化』を軸に研究を進める。結晶が得られ次第、X線回折実験や立体構造解析も進める。また、結晶化条件スクリーニングと並行して、抗体との複合体として調製されるヒトクローディン-4ホモ多量体が如何なるものであるかをNative-PAGEなどを利用して解析する。
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