研究課題/領域番号 |
25840028
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
篠田 雄大 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (10597868)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大腸菌無細胞タンパク質合成技術 / モノクローナル抗体 |
研究実績の概要 |
1、ヒトクローディン-4・抗クローディン-4ホモ多量体認識抗体複合体の結晶化条件スクリーニングとX線回折実験 前年度発見した抗クローディン-4ホモ多量体認識抗体フラグメント(Fab、一本鎖Fv)とヒトクローディン-4との複合体について結晶化条件スクリーニングを実施した。これまでにミセル法とバイセル法による約10,000条件の一次スクリーニングを行い、十数条件から微結晶形成を確認している。このうち、結晶化条件最適化により10 μm超に成長した4条件分の結晶について放射光施設SPring-8 BL41XUにてX線回折実験を行い、収集した2~3 オングストローム分解能のデータセットを解析した結果、抗体のみの結晶であることが判明した。現在は微結晶を得た別の条件について最適化中である。 2、ヒトクローディン-1ホモ多量体認識抗体の発見と抗体フラグメント作成 外部機関研究室から供与されたマウス抗ヒトクローディン-1抗体から、ヒトクローディン-1との複合体形成によりサイズ排除カラム上での溶出位置が著しく高分子量側へシフトした1クローンを発見した。このIgG配列を基に結晶構造解析に適した抗体フラグメントを作成し、ヒトクローディン-4との複合体との複合体形成能をサイズ排除カラムやBlue Native-PAGEにより解析したところ、ヒトクローディン-1との複合体は推定約400 kDa超の多量体として溶液中に存在することを確認した。 3、抗体フラグメントの動物細胞発現系を利用した大量調製 これまで、結晶化用の抗体フラグメントの調製には大腸菌無細胞タンパク質合成を利用してきたが、Fabに関しては発現量が乏しかった。調製量効率化を目的とした発現系の再検討の為、今回新たに昆虫細胞とExpi293Fを検討したところ、後者の発現系にて培地1リットル当たり60 mgのFabフラグメントが調製可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の研究実施状況報告書内で予定した通り、ヒトクローディン-4・ホモ多量体認識抗体複合体の結晶化条件スクリーニングへ進めることが出来たが、複合体の構造解析へ進めることが出来ていない。このことから、平成28年度が本課題の最終年であることを考慮するとやや遅れていると言わざるを得ない。一方で、クローディン-4での状況を補填する為に開始したヒトクローディン-1においても、良好なホモ多量体認識抗体を発見し、複合体の結晶化条件スクリーニング開始の準備が整えることが出来たことから、平成28年度内での達成も十分可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度では、引き続きヒトクローディン-4・ホモ多量体認識抗体複合体の結晶化条件スクリーニングを継続する。この際、平成27年度での結果を鑑み、結晶化への障壁となっている結晶化溶液中でのクローディン-4・抗体複合体の安定性について、変異導入等により改善を図る。さらに、平成27年度に見出したヒトクローディン-1のホモ多量体認識抗体について、ヒトクローディン-1との複合体の結晶化条件スクリーニングを開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度では、結晶化条件スクリーニングに利用する抗Claudin-4抗体Fabフラグメント調製方法を、大腸菌無細胞合成系から発現量が各段に高く、収量比で安価な動物細胞発現系へ切り替えた為、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度では、この残額分を利用してH27年度に見出したヒトクローディン-1のホモ多量体認識抗体の大量調製とヒトクローディン-1・ホモ多量体認識抗体複合体の結晶化条件スクリーニングを開始する。
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