研究課題/領域番号 |
25840029
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
竹下 大二郎 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (80613265)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | タンパク質 / RNA / X線結晶構造解析 |
研究実績の概要 |
マイクロRNAは、特定のmRNAと相補的に結合し、mRNAの分解と翻訳抑制を誘導することによって、多くの遺伝子の発現制御を担っている。ポリウリジル化酵素TUT4は、RNA結合タンパク質Lin28によってプレマイクロRNAへリクルートされ、プレマイクロRNAをポリウリジル化することで分解経路に誘導し生合成を調節している。本研究では、TUT4・Lin28によるプレマイクロRNAのポリウリジル化機構を解明することを目的としている。 ポリウリジル化酵素の組換えタンパク質を調製した。HISタグ付加したポリウリジル化酵素のコンストラクトを作製し、大腸菌を用いて発現した。全長、および全ドメインを含むコンストラクトを作製し、大腸菌で大量発現した後、Niカラム、陰イオン交換カラム、ヘパリンカラム、ゲルろ過カラムを使って精製を行った。濃縮を行って、結晶化スクリーニング実験を行った。しかしながら現在まで、結晶を得るところまで至っていない。精製後のサンプルで少量の分解物が見られ、結晶化を妨げていると考えられる。また、RNA合成活性部位を含むC末端領域を大腸菌で大量発現し、Niカラム、陰イオン交換カラム、ヘパリンカラム、ゲルろ過カラムを使って精製を行った。高純度に精製した後、結晶化スクリーニング実験を行った。その結果、ポリウリジル化酵素C末端領域については結晶を得ることができた。今後、さらに結晶化条件などの検討を行い、良質な結晶を作製する予定である。また、タンパク質RNA複合体を調製し、結晶化実験に供していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリウリジル化酵素について、様々なコンストラクトを作製し、精製と結晶化を試みてきた。全ドメインを含むタンパク質は、分子量が非常に大きく不安定であるため、結晶を得ることは難しかった。活性部位周辺のC末端領域に関しては、高純度に精製することができた。複数のタンパク質を調製して結晶化実験を行った結果、1つのコンストラクトについては結晶化が可能となった。スクリーニングで2条件で結晶化が可能となっており、それぞれの条件の改良を進めている。今後、セレノメチオニン導入したタンパク質結晶を使った位相決定、またはホモログの立体構造を利用した分子置換法による位相決定、および構造決定を目指す。ヒトポリウリジル化酵素特有のアミノ酸配列を含んでおり、新規的な反応機構が解明されると期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
結晶を得ることができたポリウリジル化酵素のC末端領域の構造決定を行う。また、RNAを混合して結晶化し、RNAの認識機構、ポリウリジル化機構を解明する。明らかとなった立体構造を基にした、生化学的解析、および生物物理学的な解析を行い、基質となるRNAの認識機構の解明と触媒反応機構の解明を行う。補助因子Lin28およびプレマイクロRNAの調製も既に行っており、生化学的解析を行う準備が整っている。Lin28、プレマイクロRNAを使って、全ドメインを含むポリウリジル化酵素の詳細な生化学的解析を行い、構造に基づいた反応機構の解明を行う。
|