ミトコンドリアで機能するType II NADH脱水素元酵素(NDH-2)は活性酸素をほとんど生成しないが、NDH-2の反応機構を含め活性酸素の生成を抑制する機構は十分に解明されていない。そこで、活性酸素の生成量を増加させるThr239変異体と野生型酵素の生化学的比較を行い反応機構と活性酸素生成との関係を調べた。反応速度論的解析、分光学的解析および物理化学的解析により、酵素反応過程で生じるNDH-2の補欠分子族FADのセミキノン型と基質NADHとの間の電荷移動錯体の形成が活性酸素生成抑制に重要であることが強く示唆された。
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