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2013 年度 実施状況報告書

細菌べん毛モーターの発生トルク制御機構の力学解析

研究課題

研究課題/領域番号 25840054
研究種目

若手研究(B)

研究機関法政大学

研究代表者

曽和 義幸  法政大学, 生命科学部, 講師 (10519440)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード細菌べん毛モーター / 分子モーター
研究概要

細菌べん毛モーターは直径約50 nmの超分子回転ナノマシンであり,イオン流をエネルギー源として駆動する.モーターはらせん状のべん毛フィラメントをスクリューのように回転させて細菌遊泳の原動力を生み出す.大腸菌べん毛モーターは,走化性関連タンパク質CheYの結合解離によって時計回り・反時計回りと回転方向の切り替えをおこなっている.また,モーターの回転速度についても外環境に応じて制御されることが知られており,YcgRやH-NSなどの因子がモーター本体に直接結合することによる速度変化が着目されている.一方,ロドバクターや海洋ビブリオ菌などの細菌がもつべん毛モーターは,CheYが結合することでモーター回転の停止や速度調節がされる.本研究では,べん毛モーターの様々な回転制御様式について,発生トルクが変化する様子を直接的に観察し,その制御機構を分子レベルで明らかにすることを目的として,本年度は以下の2点について研究を遂行した.
1.モーターの速度制御機構.ビブリオ菌側べん毛モーターはCheYの結合によってモーター回転速度が低下するが,機能解析の難しさから分子レベルの理解には至っていない.そこで,回転計測系が確立している大腸菌内に,ビブリオ菌モーターを構成する素子群を発現・機能するようなキメラモーターの作製を試みている.
2.入力エネルギーに依存したモーター制御.大腸菌のべん毛モーターは水素イオン流をエネルギー源としているが,遺伝子改変によりナトリウムイオン流を利用できる構成素子が報告されている.そこで,両素子を同時に作用させたところ,それらは協同的に機能することが明らかとなった.また,外環境のイオン濃度(エネルギー源)に依存してモーター素子の数を制御することで出力を最適化していることが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ビブリオ菌モーターの大腸菌内再構成については少し遅れがみられるものの,モーター回転機能解析に関しては論文として成果報告ができるなど,全体としてはおおむね順調と考えられるため.

今後の研究の推進方策

ビブリオ菌モーターの大腸菌内再構成を試みるとともに,他の回転速度制御因子の機能解析や回転制御方法の開発へと研究を展開する.

次年度の研究費の使用計画

遺伝子改変と機能解析を並行して遂行する計画であったが,機能解析の研究が予想以上に順調に進んだため,論文として報告することを優先するべきと判断した.そのため,遺伝子組換えの実験で計画していた物品費の使用額が計画よりも少なくなった.
モーター制御因子のクローニングや蛍光タンパク質の融合などの実験材料の準備をするために遺伝子組換え実験に使用する計画である.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Hybrid-fuel bacterial flagellar motors in Escherichia coli.2014

    • 著者名/発表者名
      Sowa, Y., Homma, M., Ishijima, A. & Berry, R. M.
    • 雑誌名

      PNAS

      巻: 111 ページ: 3436-3441

    • DOI

      10.1073/pnas.1317741111

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Populational Heterogeneity vs. Temporal Fluctuation in Escherichia coli Flagellar Motor Switching.2013

    • 著者名/発表者名
      Bai, F., Che, Y-S., Kami-ike, N., Ma, Q., Minamino, T., Sowa, Y. & Namba, K.
    • 雑誌名

      Biophys. J.

      巻: 105 ページ: 2123-2129

    • DOI

      10.1016/j.bpj.2013.09.043

    • 査読あり
  • [学会発表] Tracking of bacterial flagellar motor rotation by fluorescent microscopy.

    • 著者名/発表者名
      曽和義幸,蔡 栄叔
    • 学会等名
      第51回生物物理学会年会
    • 発表場所
      京都国際会館 (京都府)
  • [学会発表] タンデムPomA変異体を固定子とするNa+駆動型キメラべん毛モーターの回転計測

    • 著者名/発表者名
      蔡栄叔,曽和義幸
    • 学会等名
      第51回生物物理学会年会
    • 発表場所
      京都国際会館 (京都府)
  • [学会発表] 高圧力下で見られるべん毛繊維の動的多型性

    • 著者名/発表者名
      西山雅祥,曽和義幸
    • 学会等名
      第51回生物物理学会年会
    • 発表場所
      京都国際会館 (京都府)
  • [学会発表] ビデオ解析による大腸菌回転特性の大量測定

    • 著者名/発表者名
      田中裕人,松川忠司,富成征弘,小川修平,曽和義幸,川岸郁朗,田中秀吉,大岩和弘, 小嶋寛明
    • 学会等名
      第51回生物物理学会年会
    • 発表場所
      京都国際会館 (京都府)
  • [学会発表] シグナル伝達分子間のクロストークを使った鞭毛の回転方向制御

    • 著者名/発表者名
      梅村徹,小林真弓,原千穂,曽和義幸,川岸郁朗
    • 学会等名
      第51回生物物理学会年会
    • 発表場所
      京都国際会館 (京都府)
  • [図書] 月刊化学2013年9月号2013

    • 著者名/発表者名
      西山雅祥,曽和義幸
    • 総ページ数
      80(33-38)
    • 出版者
      化学同人

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公開日: 2015-05-28  

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