研究課題
若手研究(B)
本研究プロジェクトは、転写因子Oct3/4のDNA認識機構を原子分解能で解析することで、Oct3/4による転写ネットワークの制御システムの解明を目的としている。本研究では、Oct3/4の動的な構造解析を行うため、主に核磁気共鳴法(NMR)を利用する。そこで、すでに先行研究で確立されている大腸菌の発現系を利用し、15N標識したOct3/4の大量発現を行った。続いて、発現したOct3/4をニッケルキレート樹脂を用いて精製を行い、純度の高い蛋白質溶液を得た。しかしながら、この溶液をNMR測定用の溶媒(pH 7.0, 150 mM NaCl)で透析したところ、Oct3/4の凝集が確認された。蛋白質が凝集してしまうと、NMR測定だけでなく、今後全ての実験が困難となる。そこで、Oct3/4が凝集しない溶媒条件の検討を行った。まずpHを6.0および5.0まで下げた。pH 6.0ではほぼ凝集は改善されなかったが、pH 5.0ではわずかに凝集が減少した。またpH 7.0のまま、凝集抑制剤で知られるアルギニンを500 mMになるように蛋白質溶液に加えてみたところ、ほぼ凝集が抑制された。今後、この溶媒条件でNMR測定を行い、Oct3/4のスペクトルを確認することで、その溶媒条件で今後の実験計画が遂行可能か判断する。また溶媒のpHを変化させ、また、塩を加えることで可能な限りアルギニン濃度を減らし、より良い溶媒条件を探索する。
3: やや遅れている
当初計画していた中性付近の溶媒条件下で、Oct3/4が凝集してしまった。そのため、NMR測定を行うことができなかった。
Oct3/4が凝集しない、かつ、今後の実験計画を遂行できる溶媒条件を探索する。具体的には、溶媒のpHを変化させる、塩やアルギニン以外の凝集抑制剤を加えることが考えられる。適切な溶媒条件の決定後、NMRスペクトルのシグナル帰属および動的構造解析を行う。
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J. Biol. Chem.
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J. Biomol. NMR
巻: 56 ページ: 275-283
10.1007/s10858-013-9747-5