研究課題/領域番号 |
25840080
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
鈴木 元治郎 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (60466034)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 酵母 / 老化 / タンパク質 / プリオン |
研究概要 |
mlp変異株において、Hsp104などのタンパク質凝集体マーカーを利用した蛍光顕微鏡観察によって老化タンパク質の母細胞への蓄積が変化していることを見出した。mlp変異株では複製寿命が短くなっていることをマイクロマニピュレーションおよびmother enrich program strainによる解析によって確認した。また、Hsp104の過剰発現によって短くなった複製寿命が回復することも明らかにした。また、[PSI+]プリオン株を利用して、タンパク質の凝集体を分解するHsp104の阻害による非プリオン株([psi-])への変化が、mlp変異株では起こりにくくなっていくことがわかった。また、母細胞と娘細胞に含まれるプリオンタンパク質凝集体(プロパゴン)の数を測定したところ、mlp変異株では娘細胞と母細胞のプロパゴンの数がほぼ同数になっているものが多くみられた。以上から、mlp変異株では母細胞にタンパク質の凝集体をとどめることができにくくなっていることが示唆された。 また、FLAG・GFPなどのタグを融合したMlpタンパク質を利用してタンパク質の凝集体との結合や共局在を調べた。FLAGタグを融合したMlpタンパク質により免疫沈降を行ったところ、Sup35などのプリオンタンパク質やHsp104などの凝集体マーカータンパク質と結合していることがわかった。また、ubc9tsタンパク質やVHLなどの凝集体マーカーとも結合していることがわかった。またこれらの凝集体と核近傍で共局在をしていることがわかった。以上よりMlpタンパク質が凝集体を母細胞へ不均等分配するのに重要な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Mlpタンパク質とタンパク質凝集体の不均等分配の関係について多くのことがわかってきた。また、細胞寿命との関係も明らかにしたことで、今後のさらなる研究の発展が期待されると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Mlpタンパク質がどのようなメカニズムでタンパク質凝集体の不均等分配に関わっているかを明らかにする。継時的観察によりMlpタンパク質自身が不均等に分配される(新たに合成されたMlpと古いMlpの分配に偏りがある)かを調べる。また、アクチンの脱重合剤存在下やSir2の欠損などでも同様な継時的観察を行い、Mlpタンパク質によって老化タンパク質がどのよ うにして母細胞に蓄積されるか、またその機構にアクチンやSir2などの寿命制御因子がどのように関与しているかを明らかにする。タンパク質の凝集などの老化タンパク質の蓄積がmlp変異株において変化しているかを検討するために、酸化したタンパク質やユビキチン化されたタンパク質の量的な変化を調べる。 核膜孔の機能がタンパク質凝集体の不均等分配に関わっているかを検討するために、他の核膜孔の構成タンパク質の変異株においても不均等分配や複製寿命を調べる。以上から老化タンパク質の不均等分配のメカニズムの解明をMlpタンパク質や核膜孔の機能から目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
民間財団よりの補助金を受けることができたため、当初計画よりも大幅に経費の使用が抑制された。 消耗品、薬品などの物品費については翌年度分として請求した助成金でも十分ではないと考えられるので、主に物品費として使用することを計画している。
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