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2013 年度 実施状況報告書

哺乳類Rif1タンパクによる複製タイミングドメイン制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25840081
研究種目

若手研究(B)

研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

山崎 聡志  公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (30648548)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードRif1 / DNA replication / Chromatin structure
研究概要

哺乳類細胞におけるゲノムの複製開始には、時間的、空間的な制御機構が備わっている。Rif1は、染色体の構造維持を介して複製開始のタイミングドメインを制御する因子の1つである。Rif1 欠損が与える核内の変動メカニズム、あるいは個体発生や臓器の機能性維持への影響を解析した。条件的にRif1を脳で欠損させたマウスを作製し、ロータロッドテスト、自発的交替行動実験を行い運動機能障害の有無を測定した。結果、野生型マウスとRif1欠損マウスとの有意な差は観察されなかった。次に、血球系(T細胞)におけるRif1の機能解析を行った。T細胞分化の途中であるDN3時期ではT Cell Receptor (TCR)の再編成が行われる。TCR 再構成以前にRif1欠損を誘導すると末梢のT細胞数の減少が見られた。しかし、TCR 再構成以後に誘導するとこの減少は観察されなかった。またIn-vitro 分化誘導実験では、Rif1欠損によりDN3時期の細胞の分化に遅延が認められ、TCRの再編成が野生型と比べて異なる様式で編成が行われていることが分かった。一方、B細胞やマクロファージ、樹状細胞の分化についても解析を行ったが著しい変化が観察されなかった。
細胞レベルの解析では、Rif1以外の他の染色体構造の維持に関与すると報告されているコヒーシンやコンデンシン因子、あるいは核骨格の構築するラミンをノックダウンさせ、DNA複製タイミングの変動解析を行っている。この研究で、Rif1依存的、非依存的な複製タイミングの制御領域を明確にすることができると期待している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

条件的Rif1ノックアウトマウスについては、当初計画していた脳特異的KOマウス、さらに血球系特異的KOマウスなど種々のマウスを円滑に作製することができた。機能解析において、Rif1脳特異的KOマウスに大きなPhenotype が観察されなかったのは想定外の結果であった。しかしながら、血球系(T細胞)解析では、Rif1が分化時に重要な役割を担っていることを3種類(Lck Cre, CD4 Cre, ER Cre)の条件的Rif1 KOマウスの作製から明らかすることができた。
複製タイミングの解析では、サンプル調整が終了したものについては、共同研究を行っているフロリダ州立大学へ送り解析を進めている。
Rif1を欠損による核内配置の変動を 3D FISH などで解析を試みている。通常のFISH解析では良好な条件を得ているため、3D FISH での固定条件やプローブの浸透性などを検討し、H26年度中に明確な結論を出すことを目指す。

今後の研究の推進方策

Rif1のT細胞の分化への影響については、更に条件的Rif1 KOマウス(Vav Cre)の作製を行っている。これは造血幹細胞時にRif1を欠損させることができるため、血球細胞全体への影響を見る事ができる。また、In-vitro 分化誘導系を用いて、Rif1欠損でT細胞の分化途中段階でのBrdUの取り込み量、細胞周期の変動など詳細な解析を試みる予定である。更に、成熟したRif1 欠損 T細胞 (TCR再構成後に欠損誘導して獲得)のDNA複製タイミングについても現在解析を進めている。我々が以前報告した、HeLa細胞(ヒト子宮頸癌細胞)と同様に著しい複製タイミングの変動が生じているか解析する。
Rif1のゲノム結合領域の同定のための次世代シークエンスサーで解析を行う際、当初HeLa細胞を用いる予定であったが、HeLa細胞のKaryotypeが著しく変動していることから、K562細胞に変更することにした。現在、この細胞にRif1 に対するshRNAを導入して安定的に発現抑制される細胞株を作製している。K562細胞はENCODEプロジェクトに広く用いられている細胞で、本研究で獲得したデータと他の研究者が行ったデータ(ヒストン修飾など)との比較が容易である。

次年度の研究費の使用計画

次世代シークエンサーを用いたRif1 のゲノム結合領域の解析において細胞をHeLaからK562へ変更し、条件検討を行っている。この実験に用いる抗体や解析など関連研究費は、次年度に持ち越すこととなった。
H26年度、K562細胞、Rif発現抑制K562細胞を使用して、Rif1のゲノム結合領域を次世代シークエンサーにて解析し明らかとする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Replication timing regulation of eukaryotic replicons: Rif1 as a global regulator of replication timing2013

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki S, Hayano M, Masai H
    • 雑誌名

      Trends in Genetics

      巻: Volume 29, Issue 8 ページ: 449-460

    • DOI

      10.1016/j.tig.2013.05.001

    • 査読あり
  • [学会発表] 核内染色体高次構築を制御するRif1の生体内における機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      山崎聡志、正井久雄
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      兵庫県 神戸市 神戸ポートピアホテル
    • 年月日
      20131203-20131206

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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