研究課題
本研究の目的はイモリ心筋組織の再生に寄与する細胞の特定と、再生過程を制御する遺伝子の同定、さらにその機能を解明することである。そのために(1)再生過程に置ける細胞系譜追跡のためのラベル法の確立、(2)遺伝的ラベルを駆使した細胞系譜の追跡による、再生心筋組織に対する寄与の特定、(3)再生時期・細胞種特異的な遺伝子破壊(コンディショナルノックアウト)法と遺伝子発現誘導法の確立、(4)コンディショナルノックアウトや遺伝子発現誘導を介した、心筋再生における遺伝子機能の解析を計画している。これまでの研究の進展をふまえ、平成27年度は、昨年度に引き続き(3)および(4)を重点的に行った。コンディショナルノックアウトイモリの作製に関しては他のグループによって発表されたTAL-Pitch法を試み、イモリにも有効であることを示したことで、(4)の解析に不可欠な細胞周期制御因子のコンディショナルノックアウトイモリ作製に着手できた。その結果、目的とする遺伝子のイントロン領域に対してloxP配列を挿入可能であることを示した。また、横山 仁、森下 善弘、亀井 保博らと共同で遺伝子の発現誘導法としてイモリを用いたIR-LEGO法を構築した(論文発表済み)。さらに、イモリの心臓再生過程における心筋細胞の増殖パターンの詳細を明らかにした。この結果は本計画の(1)および(2)を補完するものであり、これらの結果を合わせて現在論文の投稿準備を進めている。当該年度の研究成果をもとに、原著論文(査読あり)を1報と和文総説(査読なし)を2報発表した。また、共同研究を含め4件以上の学会・研究会における研究発表を行った。うち3件は招待講演の演者をつとめた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
実験医学
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
生体の科学
Dev. Growth Differ.
巻: 57 ページ: 601-613
10.1111/dgd.12241.