研究課題
Nodalシグナルはマウス初期発生においてきわめて重要である。これまでの遺伝学的な解析により、着床初期におけるエピブラストの多分化能を維持するほか、神経上皮への分化を抑制し、そののちの原条形成に必須である。これまでに申請者はNodalシグナルを抑制する阻害剤を用いて初期胚を培養し、トランスクリプトーム解析により、エピブラストにおけるNodalシグナルの標的遺伝子を複数同定した。本研究ではさらに既報のChIP-seqデータを利活用することにより、Nodalシグナルによってダイレクトに制御される遺伝子の絞り込みに成功した。これらの遺伝子によるシグナル経路を薬剤処理によって阻害したところ、上記のNodalシグナル異常と一致するような表現系を再現できた。これまでにNodalシグナルの重要性は広く認識されていたいっぽうで、ダイレクトな標的遺伝子は知られていなかったため、これらの結果は初期発生におけるNodalシグナルの作用機序を明らかにするほか、pluripotencyを有するエピブラストの分化および多分化能維持機構の解明に貢献できる。本研究によって得られた知見は最終年度において、高血糖母獣における胎仔の左右軸異常の解明にも応用した。さらに、上述の情報解析技術を駆使し、より広い分野の研究者が簡単に使えるようなツールの開発を行い、ソフトウェア(SraTailor; http://www.devbio.med.kyushu-u.ac.jp/sra_tailor/)および最終年度はChIP-seqのためのデータベース (ChIP-Atlas; http://chip-atlas.org)を開発した。
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J Cell Biochem
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10.1002/jcb.25368
Proc Natl Acad Sci U S A
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http://chip-atlas.org