研究課題/領域番号 |
25840091
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
加藤 譲 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (60570249)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | マウス / 生殖細胞 / 性分化 / 卵形成 / RNA結合タンパク質 |
研究概要 |
課題1:雄性生殖細胞の性分化過程におけるRNA結合タンパク質Nanos2とDazlの機能的相互作用 標的RNAに対するNanos2とDazlの関係を明らかにすることを目的とし、Nanos2とDazlが共通の標的RNAを有するか検討を行った。雌雄の生殖巣を用いて抗Dazl抗体によりRNA免疫沈降・マイクロアレイ解析を行い、既に有しているNanos2のデータと重ね合わせた結果、Nanos2結合RNAのおよそ20%がDazlとも結合することが明らかとなった。また、Nanos2, Dazlの両者が結合可能なRNAの約40%は雌の生殖巣においてDazlが強く結合するものであった。この40%の遺伝子の8割以上がNanos2変異体雄生殖巣において発現上昇することから、Nanos2とDazlは標的RNAに対し拮抗的に働くことが示唆された。続いて、Dazl過剰発現下におけるNanos2のP-bodyへの局在の変化を定量的に解析するため、Rを用いた顆粒認識プログラムを作成し、生物画像を用いた解析に着手した。 課題2:卵形成におけるDazlの機能解析 卵形成における3'UTRを介したDazlの発現制御とその発生生物学的意義の解明を目的とし、Flp-FrtシステムによりDazl 3'UTRを取り外しできるBAC Tgの解析を行った。その結果、3'UTRを取り除くとDazlタンパク質量が増加することが分かった。このときmRNA量に大きな増加は見られないことから、卵細胞においてDazlは翻訳抑制を受けている可能性が示唆された。また、Dazlが過剰発現するとコントロールと比べ、産子数が半分以下に落ちることから、Dazlの抑制は適切な数の卵を形成する上で必須のメカニズムであると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1について、計画していたDazlのRNA免疫沈降、画像データを用いた共局在の定量化解析法の確立を終えている。 課題2について、Dazlの発現解析、トランスジェニックマウスの組織学的解析が順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
課題1について: 共局在の画像解析を完了させる。これらの結果から、Nanos2, Dazl間における標的RNAに対する関係を明らかにし、投稿論文としてまとめる。 課題2について: BAC Tgの卵巣を組織学的に解析し、Dazl過剰発現の影響を明らかにし、投稿論文としてまとめる。
|