研究課題/領域番号 |
25840092
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
竹花 佑介 基礎生物学研究所, バイオリソース研究室, 助教 (60432093)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 性決定遺伝子 |
研究実績の概要 |
これまでの研究から、ポジショナルクローニング法によってインドメダカの性決定遺伝子Sox3Yを同定した。そこで本研究では、本種のSox3が、既存の遺伝子系を流用することで性決定遺伝子として成立したのか(co-option仮説)、あるいは全く新奇に遺伝子ネットワークを構築することによって性決定機能を獲得したのか(de novo仮説)を解明することを目的としている。 TALENによってSox3ノックアウトメダカを作出したところ、どのノックアウト系統も正常に発生し、初期性分化過程も正常であった。さらに、成熟したXX個体はすべてメスに、XY個体はすべてオスに分化したことから、メダカではSox3が性分化に必要ないことが示された。また、性分化時期の生殖巣におけるSox3の発現も認められなかった。これらの結果から、もともと性分化に関与しないSox3が、インドメダカで新たな発現パターンを獲得することによって新奇の性決定パスウェイを獲得したこと(de novo仮説)が示唆された。また、セレベスメダカグループのメダカ近縁種2種(マーモラタスメダカおよびプロファンディコラメダカ)でも、性決定遺伝子の有力候補としてSox3が同定されたことから、インドメダカとは独立にSox3が性決定遺伝子として獲得されてきた可能性も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発現解析およびノックアウト個体の解析については予定通り行うことができ、インドメダカのSox3が全く新奇に遺伝子ネットワークを構築することによって性決定機能を獲得したという「de novo仮説」を支持するデータを得ることができた。しかし、当初予定していたSox3トランスジェニック系統の作出と解析については平成27年度内に実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Sox3トランスジェニック系統の作出と表現型解析を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が参画する他のプロジェクトのエフォートが増加し、当初の予定通りに研究を進めることが困難であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に計画していた実験を次年度に持ち越したため、この実験に必要な試薬・消耗品、および学会等で成果発表するための旅費の一部として使用する。
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