研究課題
若手研究(B)
本研究では、不要な神経接続の刈り込みを介した神経回路再編成の分子・細胞メカニズムの解明を目指す。そのために、ショウジョウバエ感覚ニューロンで蛹期に見られる軸索突起の刈り込みをモデル系とし、軸索ガイダンスシグナルの一つであるRoboシグナルの機能メカニズムに着目した。具体的には、まず、RoboのリガンドであるSlitの蛹期における発現パターンを抗体染色により確認した。さらに、遺伝学解析によりSlitがRoboのリガンドであるか否かを明らかにするため、生後特異的にRNAiを誘導するショウジョウバエ系統を作成した。現在、これらの系統を用いてRobo及びSlitのRNAi実験を進行中である。次に、ライブイメージングにより軸索末端の刈り込み過程におけるRoboの挙動を確かめるため、GFPで標識したRoboを膜結合型RFPと共発現するトランスジェニック系統を樹立した。このGFP-Roboは感覚ニューロン軸索末端に特異的に強く分布することを確認した。現在この系統を用いて、軸索突起の刈り込み過程におけるGFP-Roboのライブイメージングを試みている。これらと並行して、国立遺伝学研究所で作成されたショウジョウバエRNAiコレクションを活用し、Roboの下流因子候補のスクリーニングを行った。本年度までに約700遺伝子についてのスクリーニングが終了しており、Roboの下流で軸索突起の刈り込みに関与する可能性のある候補遺伝子5個を得ている。これらの遺伝子産物とRoboとの生化学的相互作用について現在解析中である。
2: おおむね順調に進展している
申請書において提案した案件について、本年度はおおむね達成できた。特に、生後特異的にRNAiを誘導する系統や、GFP-Roboの系統など、今後の解析に有用な系統が作成できた。また、RNAiスクリーニングについても計画通りのペースで進行している。
Slitが軸索突起刈り込みにおいてRoboリガンドとして機能するかを検証する。そのため、生後特異的にRNAiを誘導する系統を用いてSlitのRNAi実験を行う。また、RoboのRNAiによる表現型についてのレスキュー実験から、RoboとSlitとの結合ドメインが正常な刈り込みに必須かどうか調べる。次に、GFP-Robo系統を用いて、軸索突起刈り込みにおけるRoboの挙動を明らかにする。さらに、RNAiスクリーニングを継続して行い、生化学的、遺伝学的相互作用を調べることにより、Robo下流因子を同定する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Current Biology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.cub.2014.03.041
Science
巻: 340 ページ: 1475-1478
10.1126/science.1234879