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2013 年度 実施状況報告書

転写の動的挙動の次世代への継承の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25840095
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

村本 哲哉  独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (10612575)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード転写 / ライブセルイメージング / 細胞分化 / 周期性 / ゆらぎ / クロマチン修飾 / 遺伝子発現動態
研究概要

生物が発生分化のプログラムを遂行するためには、細胞内の分化を規定する情報が細胞分裂を介して正確に受け継がれることが必須である。これまで私は遺伝子発現動態に着目し、転写活性化状態が母細胞から娘細胞へと受け継がれていることを明らかにした。さらに、この維持機構にヒストンH3K4のメチル化が関与することを見出した。また、細胞分裂を繰り返すに従い遺伝子発現が大きくばらつく変異株を単離し、その解析を試みている。
本研究では、私が独自に開発した転写を長時間にわたってライブセルイメージングする技術を用い、この変異株を詳細に解析することで、遺伝子発現動態が次世代へ引き継がれるメカニズムをさらに詳しく解明していくことを目的とした研究を行っている。
本年度は、細胞分裂を繰り返すに従い、遺伝子発現がばらつく原因遺伝子を破壊した、遺伝子発現をモニターする細胞株を作製し、長時間にわたるライブセルイメージングを行った。現在、遺伝子発現動態が世代を超えて維持できなくなっているかどうかについて検討している。
また、この解析の過程で発生特異的遺伝子の分化誘導後の動的挙動もモニターした。その結果、その遺伝子の転写が細胞集団全体で約6分おきに同期していることを発見した。さらに、その分子メカニズムを解明するためにアメリカの研究グループと共同研究を行い、約6分周期で見られるシグナルが、細胞表面のレセプターを介し、細胞内の転写因子を周期的に活性化することで、約6分周期の転写の活性化情報に変換されるという動的メカニズムを解明するに至った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画の目的であった細胞分裂を繰り返すに従い、遺伝子発現がばらつく遺伝子を破壊した細胞株を用いた解析が進行している。また、この解析の過程から発見された周期的遺伝子発現動態を解析することで、周期的なシグナルが周期的な転写の活性化情報に変換される動的メカニズムの解析に成功した。

今後の研究の推進方策

最終年度に当たる本年度は、研究成果をまとめるための実験を行う予定である。特に、得られた変異株を用いて遺伝子発現動態を計測し、転写活性化状態の維持機構を解明するための実験を精力的に進める予定である。

次年度の研究費の使用計画

研究の進行の都合上、実験補助パートタイマーを雇用する期間を短くした。そのため、人件費として確保していた予算のうち、一部使用しなかった。
本研究で欠かせない技術である顕微鏡を用いたライブセルイメージングを行うための物品等を購入するための費用として使用することを計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Nucleocytoplasmic shuttling of a GATA transcription factor functions as a development timer2014

    • 著者名/発表者名
      Cai, H., Katoh-Kurasawa, M., Muramoto, T., Santhanam, B., Long Y., Li, L., Ueda, M., Iglesias, P.A., Shaulsky, G., and Devreotes, P.N.
    • 雑誌名

      Science

      巻: 343 ページ: 1249531

    • DOI

      10.1126/science.1249531.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Imaging Nascent RNA Dynamics in Dictyostelium2013

    • 著者名/発表者名
      Chubb, J.R., Stevense, M., Cannon, D., Muramoto, T., and Corrigan, A.
    • 雑誌名

      Methods Mol Biol.

      巻: 1042 ページ: 101-113

    • DOI

      10.1007/978-1-62703-526-2_8.

    • 査読あり
  • [学会発表] Screen for modifiers of transcriptional inheritance

    • 著者名/発表者名
      Muramoto, T., and Ueda, M.
    • 学会等名
      第46回日本発生生物学会年会
    • 発表場所
      島根,くにびきメッセ
  • [学会発表] ライブセルイメージングを用いた遺伝子発現解析法

    • 著者名/発表者名
      村本哲哉
    • 学会等名
      第3回日本細胞性粘菌学会例会
    • 発表場所
      京都,京都大学理学研究科
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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