研究課題
生物が発生分化のプログラムを遂行するためには、細胞内の分化を規定する情報が細胞分裂を介して正確に受け継がれることが必須である。これまで私は、転写の動的挙動をライブイメージングする技術を開発することで、転写活性化状態が母細胞から娘細胞へと受け継がれていること、さらにこの維持機構にヒストンH3K4のメチル化が関与することを見出した。しかし、その詳細なメカニズムは、未解明のままとなっている。そこで、細胞分裂を繰り返すに従い遺伝子発現が大きくばらつく変異株を単離することで、転写活性化状態の維持機構のさらなる解析を目指した。遺伝子発現が大きくばらつく変異株をREMI法(制限酵素仲介遺伝子挿入法)により単離した結果、4種類の興味深いばらつきを示す変異株が得られた。その原因遺伝子の同定を行った結果、原因遺伝子の一つはヒストンのメチル化に関わるものであった。そこで、このばらつきが増加した株に注目し、転写の活性化状態が世代間で維持されているのかどうか検討を行った。ここでは、私が独自に開発してきた転写の動的挙動を可視化するライブイメージング技術を用いた。現在、ライブイメージングにより得られた画像の解析を進め、母細胞から娘細胞への転写の維持がどの程度失われているのか検討している。また、この解析の過程で変異を加えていない株における発生分化特異的遺伝子の動的挙動もモニターした。その結果、その発生分化特異的遺伝子の活性化が、細胞集団全体で同期して起こるという非常に興味深い現象を発見した。
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Japanese Scientists in Science 2014
巻: 1 ページ: 29
Science
巻: 343 ページ: 1249531
doi: 10.1126/science.1249531.
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/newinfo/info79.html
http://www.qbic.riken.jp/japanese/news/topic/muramoto20140404.html
http://www.qbic.riken.jp/english/news/topic/muramoto20140404.html