研究課題
若手研究(B)
トランンスゴルジ網(TGN)は、ゴルジ体のトランス槽の外側に存在する網目状の構造体で、ゴルジ体を通過したタンパク質が機能すべき場所に正しく輸送されるための選別を行うオルガネラである。植物細胞では、TGNは初期エンドソームとしても機能するという報告もあり、植物はポストゴルジ膜交通網やオルガネラ機能を動物や酵母とは独立して発達させてきたと考えられている。そのため、植物のTGNの構造・機能を理解することは、植物細胞生物学分野において非常に重要な課題の一つであり、本年度はTGNのダイナミクスの解析を行った。当研究室で開発された超解像ライブイメージン顕微鏡(SCLIM: super-resolution confocal live imaging microscopy)を用いてシロイヌナズナの根のTGNの動態の観察を行った結果、TGNはゴルジ体のトランス槽側に存在するGA-TGN (Golgi-associated TGN)とゴルジ体とは独立して存在するGI-TGN (Golgi-released independent TGN)の2種類が存在することを発見した。また、GI-TGNはGA-TGNの一部が解離することによって形成されることを4Dイメージンによって明らかにした。さらに、GA-TGNとGI-TGNの数は植物の組織によって大きく異なることから、「植物のTGNは細胞の分化状態や組織によってその挙動と機能を大きく変える」ことを見いだした。また、うどん粉病菌応答における重要な因子VAMP721がTGNによってその局在を制御されていることを見出した。
1: 当初の計画以上に進展している
ライブイメージングによるゴルジ体とTGNダイナミクスの解析については、論文発表を行うことができ、当初の計画以上に進展することができた。また、うどん粉病菌応答におけるTGNの役割についての新たな知見を得ることができた。
今後は、TGNとエンドソーム・TGN同士のダイナミクスについて超解像ライブイメージング顕微鏡を用いて観察し、植物のポストゴルジオルガネラの動態の解明を目指す。また、ストレス応答(特に病原菌応答に注目して)におけるTGNの役割の解明を目指す。
当初の計画していた実験が大幅に遅れサンプルの作成に時間がかかってしまったため。研究が実施できる準備が整ったため、実験補助員を雇用して遅れた研究を遂行する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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