研究課題
トランンスゴルジ網(TGN)は、ゴルジ体のトランス槽の外側に存在する網目状の構造体で、ゴルジ体を通過したタンパク質が機能すべき場所に正しく輸送されるための選別を行うオルガネラである。植物細胞では、TGNは初期エンドソームとしても機能するという報告もあり、植物はポストゴルジ膜交通網やオルガネラ機能を動物や酵母とは独立して発達させてきたと考えられている。そのため、植物のTGNの構造・機能を理解することは、植物細胞生物学分野において非常に重要な課題の一つであり、本年度は病原菌応答におけるTGNのダイナミクスの解析を行った。シロイヌナズナに感染することが出来ないうどんこ病菌を感染させるとうどんこ病菌侵入部位にGI-TGNが集まってくることを発見した。このGI-TGNの集積はTGN機能が損なわれた変異体syp4変異体では著しく弱くなった。さらに、sp4変異体では、うどんこ病菌感染時に細胞膜上でのSNARE複合体の形成(PEN1-VAMP721複合体)の形成が著しく低下していることを発見した。また、syp4変異体ではうどんこ病菌に感染しやすくなることから、GI-TGNによるタンパク質の局所的な輸送が病原菌抵抗性に必要であることが示唆された。MS培地にNa+を過剰に加えて高塩ストレス処理を行うとTGNのサイズは減少するのに対して、MS培地の組成を1/10にしNa+を過剰に加えた高塩条件では、TGNはサイズが減少するのではなく凝集体を形成する。これらの結果から塩ストレス応答においてもTGNが重要な役割を果たしていること見出した。
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Plant Cell Physiol.
巻: 57 ページ: 307-24.
doi: 10.1093/pcp/pcv076
Plant Biotechnology
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