研究課題/領域番号 |
25840102
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 恭子 (大橋 恭子) 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90451830)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 植物 / 維管束 / 転写 |
研究概要 |
維管束は、木部・篩部・前形成層/形成層からなる植物に重要な組織である。維管束の分化過程は、その組織としての重要性から長らく熱心に研究がなされてきた。中でも木部の分化に関しては、近年、その分子メカニズムの解明が急速に進んでいる。道管細胞分化のマスター因子、VASCULAR-RELATED NAC-DOMAIN6 (VND6)・VND7が単離されて以来、その下流の因子や制御機構が解明されつつある。その一部として、二次細胞壁の形成を進める転写ネットワークも明らかになってきている。このように維管束分化の中でも特に木部分化の最終段階に関しては理解が進んでいる。しかしながら、それ以前の維管束分化過程、特に前形成層細胞から木部へと分化決定がなされる過程の分子メカニズムはほとんど明らかになっていない。そこで、本研究では、前形成層から木部分化にいたる分化過程の転写制御ネットワークを明らかにすることを目的とした。そのために、一つ目として、木部道管のマスター因子であるVND7の発現を制御する因子を単離することにした。今年度は、その際に必要となるベクターのコンストラクションおよび形質転換植物の作成を行った。二つ目として、前形成層から木部へ向かう分化の際の鍵転写因子であると考えられるATHB8の下流制御因子の探索を試みた。今年度は、シロイヌナズナの培養細胞にATHB8過剰発現ベクターを導入した形質転換株を作成し、発現解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前形成層から木部分化に至る過程の分子機構を明らかにするための2つの方法について、いずれも順調に研究が進んでいる。VND7の上流因子の単離については、材料となる植物体が作出済みである。ATHB8の制御する因子の探索については、ATHB8過剰発現時に発現レベルの変動する遺伝子をピックアップすることができている。引き続き、解析を行うことで新たな制御因子を解明できると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
VND7を制御する因子、ATHB8が制御する因子、それぞれについて単離を行い、詳細な機能解析を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
因子単離に採用した新規手法に当初の見込みほど費用がかからなかったため。 分子生物学的実験を進めるための消耗品費として使用する予定である。
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