高等植物のモデル植物であるシロイヌナズナにおいて、光周性花成経路で中心的に働く2つの遺伝子COとFTは、その遺伝子発現が概日時計によって制御されていることが解ってきている。高等植物において、概日時計機構は、すべての細胞で細胞自律的に機能しており、それぞれの細胞がその分子機構を保持していると考えられているが、CO、FT遺伝子が発現するのは主に葉の維管束組織にある師部柔細胞である。 研究室の移動が伴い研究が本来よりも遅れたが、本年度は26年度からの解析で得られた師部柔組織、COの発現している組織、FTの発現している組織において特異的に発現している遺伝子群のリストからCO遺伝子の転写調節候補遺伝子の解析を進めた。その結果既知のCO転写活性化因子と物理的に相互作用しながら協調的にCOの転写を活性化する新規因子を同定し、それらの多重変異体解析により遺伝学的に転写活性化因子の相関を見出すことができた。ウキクサを用いた花成経路の研究では形質転換体の作成が進み既知の花成回路に加えて新たな花成を促進する経路の存在が示唆され、今後の解析の基礎となる結果が得られた。
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