研究課題/領域番号 |
25840106
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笠原 竜四郎 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 招へい教員 (40467270)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 受精欠損 / スクリーニング / 種子肥大 / 部分的種皮形成 / 変異体 / 遺伝子同定 |
研究概要 |
25年度は、受精に必須な変異体を受精非依存的種子肥大を利用して多数獲得することに重点をおいた。その結果、40000個体を実際にEMSにかけ、そのうちEMSのストレスを回避した4303個体についてスクリーニングを行い、合計78個の変異体を獲得することが出来た。これら78個の変異体に表現型解析を現在順次行っている状況である。初期表現型解析は、①アニリンブルー解析により全ての胚珠に花粉管が挿入されているかどうかを調べる実験や、②変異体と野生型を掛け合わせて後代に変異が遺伝しているかどうかを見る相互交配実験、③最後に組織の透明化法を使って胚珠の中に胚や胚乳が形成されているかどうかを見ることによって受精の成否を見る実験を随時遂行中である。①に関して、78個の変異体のうち全ての変異体でほぼ全ての胚珠に花粉管が挿入されている事が確認できた。これはバニリンによるスクリーニングで獲得できたもののほぼ全てにおいて雌性配偶体の形成が花粉管を誘引するまでの段階には成熟している事を示しており、配偶体形成不全の変異体を効率よく除外できている証拠である。過去の報告によるとEMS等によって変異を与えた結果生じる雌性配偶体の変異体の割合は、84%が雌性配偶体形成不全である事が知られており、これらを効率よく除外できるスクリーニング法が確立されたことはこの研究課題の進展に大きく貢献出来たと結論づけることができる。また、変異体の1つである1F747は次世代シーケンサーによる点変異箇所同定の解析が終了しており、エコタイプマッピングと併用して原因遺伝子の同定を目指して進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
25年度は受精に必須な遺伝子を獲得するために、より多くの変異体をストックすることが第一目標であったが、78個の変異体を獲得できたことからこの目標は達成できたと考えられる。更に、26年度に始める予定であった次世代シーケンサーによる遺伝子解析は1F747変異体に関しては既に終了しており、この変異体の解析に関しては計画以上に進展していると言える。26年度もこのスクリーニングを継続して行うと同時に変異体の解析も引き続き行っていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
26年度は25年度のスクリーニングにて獲得できた78個の変異体について受精のどの段階で欠損が生じているのかを見極め、それぞれの変異体をカテゴライズして解析することに重点を置く。また、25年度のスクリーニングでは非常に効率よく受精に関する変異体を獲得する事が可能であることが証明できたので、引き続きこのスクリーニングを行い、変異体の数を増やして行く予定である。研究を遂行する上で現在問題となっているのは、受精に関する変異体と胚発生に関する変異体の見分けがつきにくいという点である。しかしこの場合変異体と野生型を掛け合わせる相互交配を行えば、その変異体が配偶体型なのか胚発生型であるのか容易に判断できるため、この点は克服できると考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
商品購入の納期が遅れ、次年度使用額が生じた。 当該商品は5月中に納品予定である。
|