研究課題
1)MIRO1ホモ多量体形成を介したミトコンドリア融合の可能性の検証:これまで多くの膜局在型GTPaseがホモ多量体形成を行うことでオルガネラ融合に寄与していることが示されている。しかし本研究でのyeast two-hybrid法による検証では、MIRO1同士の相互作用は見られなかった。MIRO1の2つのGTPaseドメインの系統解析から、両者はいずれもRas GTPase superfamilyに属するものであることが示唆されたため、MIRO1は他の低分子量GTPase同様、何らかのエフェクターを介して植物ミトコンドリアの形態維持に関わることが予想された。2)MIRO1結合タンパク質の探索と局在性・機能解析:1)の結果を受けてMIRO1と相互作用するタンパク質の探索を試みた。MIRO1細胞質ドメインをbaitとしてシロイヌナズナcDNAライブラリーに対しyeast two-hybrid法によるスクリーニングを行ったところ、ミトコンドリア外膜のチャネルタンパク質であるvoltage-dependent anion channel (VDAC)の複数のアイソフォーム、および植物に特異的な機能未知タンパク質2種が単離された。機能未知タンパク質についてGFPを用いて細胞内局在性を調べたところ、いずれもミトコンドリア外膜に局在することが示唆された。VDACのT-DNA挿入変異体では、ミトコンドリアの形態異常とロゼット葉の早期黄化が見られた。これらの表現型はMIRO1ノックダウン植物でも観察されていることから、両者は同一の経路で機能することが示唆された。このことから、MiroはVDACをはじめとする複数のタンパク質と相互作用することでミトコンドリアの外膜における物質透過性の制御に寄与しており、これらの欠失によりミトコンドリアの機能低下と形態異常が引き起こされるという可能性が考えられた。
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Front. Plant Sci.
巻: 5 ページ: 350
10.3389/fpls.2014.00350