研究概要 |
これまでの研究より、CO2シグナル伝達因子のマスターレギュレータCCM1と相互作用する因子を免疫沈降法により2つ同定し、P45、P80と名付けた。CO2応答におけるこれら相互作用因子の機能を推定するために、P45、P80をそれぞれコードする遺伝子のノックアウト株の作出を試みた。まず、パロモマイシンに対して耐性を付与するaphVIII遺伝子のPCRカセットを、クラミドモナス雄株C-9に導入し、約60,000株の遺伝子タグ挿入変異株ライブラリーを作成した。形質転換には新たに開発した迅速かつ高効率のクラミドモナス形質転換系(Yamano et al., 2013)を用いた。P45に関しては5’-UTR及び第14エキソンにDNAタグが挿入された変異株を単離した。P80に関しては3’-UTR及び5’-UTRの上流にDNAタグが挿入された変異株を単離した。P80の挿入変異株についてP70抗体を用いて蓄積量の変化を検出したが、野生株と変化はなかった。 CCM 複合体の in vitro 再構成について実験を進めた。大腸菌を用いた CCM1 全長の発現は困難であったため、コムギ抽出胚を用いた in vitro translation により、P80については全長の合成をウェスタン解析により確認した。合成したP80を用いたプルダウンアッセイにより、in vitroにおいてもP80とCCM1の相互作用を検出できた。 CO2シグナル伝達に関わる新奇な因子を同定するために、高CO2要求性を指標とした変異株スクリーニングを行った。約20,000株の遺伝子タグ挿入変異株ライブラリーについて高CO2条件と低CO2条件での生育を比較し、3株の高CO2要求性変異株(H24, H82, P103)を単離し、その表現型について報告した(Wang et al., in press)。
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