研究実績の概要 |
光反応性RGF1ペプチドを用いて,シロイヌナズナ受容体キナーゼライブラリー約90種類に対して網羅的な結合実験を行い,RGFを直接結合する受容体を3つ(RGFR1,RGFR2,RGFR3)同定した.rgfr1,2,3三重変異体は根端分裂組織が縮小し,根が短くなる表現型を示した.またrgfr1,2,3三重変異体は外的に投与したRGFペプチドに非感受性であった.加えてrgfr1,2,3三重変異体中ではPLETHORA(PLT)タンパク質のグラディエントが失われており,根端で発現するRGFペプチドが,3つのRGF受容体に直接認識されることでPLTタンパク質の分布パターンを調節し,根端分裂組織の維持を行っていることを明らかにした.以上の成果を論文として報告した(Shinohara et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 113 3897-3902). さらに研究を発展させ,RGFペプチドと受容体のペアを介したを介した根端分裂組織維持機構の解明のため,PLT2-GFPを発現させたrgfr1,2,3三重変異体を用いて,PLT2タンパク質の分布パターンの回復を指標とした低分子化合物のスクリーニングを行った.現在までに約16,000の低分子化合物のスクリーニングを完了し,PLT2タンパク質の分布パターンを回復させる化合物を複数得ている.これらの化合物はRGFペプチドを介した根端メリステム維持機構の解明のための手がかりになると考えている.
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